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世界を魅了する巨大ヒト型ロボット
「おもしろい」が新たな価値を生み出す

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テクノロジーか、それともアートか――。高さ2.5メートル、重量わずか40キログラムの動作拡大型スーツ「スケルトニクス」の圧倒的な存在感は、見るものを惹きつけ、まだ見ぬ未来、非現実へといざなってくれる。国内外から高い注目を集めるロボット・ベンチャー、スケルトニクス株式会社。代表取締役CEOの白久レイエス樹氏に、開発の経緯や今後の事業展開などについて聞いた。

きっかけは「高専ロボコン」

――ロボット・ベンチャーがなぜ、八王子の住宅街にオフィスを構えたのですか。

白久レイエス樹(しろくれいえすたつる)
スケルトニクス株式会社 代表取締役CEO
2012年、沖縄高専専攻科創造システム工学専攻機械システム工学コース卒業。在学中の2008年に第21回高専ロボコン全国大会で優勝。2013年度未踏IT人材発掘・育成事業採択、2013年度グッドデザイン賞を受賞。東京大学大学院新領域創成科学研究科在学中の2013年10月にスケルトニクス株式会社を設立。2014年同大学大学院修了。

 3人で経営している会社ですが、八王子の出身者はいません。みんな沖縄の出身です。ベンチャー企業というと、国やベンチャーキャピタルが支援するインキュベーション施設に入るケースが多いのですが、僕らの場合、それができなかった。つくっているものが大きいから、都心にあるオフィスビルのエレベーターでは運べない。最初から自分たちでオフィスを構えるという選択しかなかったのです。

 起業したのは在学中の2013年のこと。外部から大きな投資や融資を受けているわけではなく、すべて自己資本で運営していることもあって、安いところを当たるしかなくて。千葉、埼玉、西東京で探しているなかで、たまたま八王子にいい物件があって、借り始めました。現在のオフィスは八王子で二軒目です。約100平方メートルあるのですが、たとえば秋葉原だと同じ家賃で10分の1程度のスペースしか借りることができません。

 こんな場所でビジネスができるのかと疑問に思われるかもしれませんが、月に数回、科学館や地域のイベントにロボットとパフォーマーを派遣するというB to Bのビジネスモデルなので、頻繁に都心に出かける必要もありません。実物を目の前にして打ち合わせをしたいというクライアントも多いので、ここまで足を運んでもらっています。

 いいこともあります。秋葉原のスタートアップ施設に見学に行って思ったのは、いろんなベンチャーが集まっているので“ノイズ”が多いということ。トレンドに惑わされてしまう。ここだと、自分たちしかいないので、決めたことに集中できる。だからブレずにやってこれた、そう考えることもできます。

――そもそも「スケルトニクス」を開発したきっかけ、目的は何だったのですか。

 動作拡大型スーツ「スケルトニクス」は現在、5号機までつくりましたが、初号機をつくったのは5年前。学生時代の思い出づくりです。高専ロボコンの仲間の一人、阿嘉(倫大・スケルトニクス取締役CTO)くんが、リンク機構について勉強していて、これを人間の腕や脚に装着すれば、巨大なヒト型ロボットができるのではないか、と思いついたのがきっかけで、つくり始めてみるとおもしろかった。それだけです。

 初号機の制作にあたっては、学校(沖縄高専)から資金援助も受けました。学校を地元にPRすることがその条件で、県内のイベントに出かけて、スケルトニクスに乗り、ライブパフォーマンスを行いました。最後に、自分たちの思い出づくりにニコニコ動画に動画を投稿したところ、たまたまこれを見た人がYouTubeに転載して、世界中の方からコメントをもらうことになりました。予想だにしていなかったのは、企業から問い合わせがあったこと。「使ってみたい」「研究に協力してくれないか」といったオファーがあったのですが、残念ながら学生だったので、ほとんど応えることができずに終わってしまいました。

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