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電気自動車、自動運転だけでは片付かない
自動車メーカーは超複雑系マネジメントの世界

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カーシェアリングなどの新たな交通サービスの台頭や自動運転技術の高度化などによって、パラダイムシフトを迎えつつある自動車業界。クルマを造って販売するだけの従来型ビジネスでは競争力を保てないのではないか、と危惧する声も多い。新規参入を虎視眈々と狙う企業も増え、自動車メーカーのサバイバル競争はますます激化しそうな気配だ。次世代に向けた経営課題や新たな付加価値創造について、アクセンチュア戦略コンサルティング本部の川原英司氏に聞いた。 

地域別・技術別の高度で複雑な
マネジメントが求められる

川原 英司(かわはら・えいじ)
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクター
東京大学卒業後、日産自動車、三菱総合研究所、A.T. カーニーを経て、アクセンチュア参画。自動車関連を中心に経営コンサルティングを数多く手掛ける。経済産業省、国土交通省、NEDOなどで各種委員を歴任。主な著書に「自動車産業 次世代を勝ち抜く経営」(日経BP)等。

――転換期を迎えつつある自動車業界ですが、今後の経営課題はどのようなことだと思われますか。

 大きく分けて2つの課題があります。1つは業界構造の複雑化に対応する「複雑性マネジメント」、もう1つはサービス化や自動化を実現する「付加価値創造」です。

 複雑化の背景には、まだまだ成長を続けるグローバルな自動車市場への対応をはじめ、地域市場の多様性、ソフトウェア比率の増大、アウトソース拡大、自動運転・新サービスモデルへの対応などが挙げられます。

 世界市場規模は現在、8000万~9000万台ですが、数年後には1億台を超え、2025年くらいまでは安定的に成長すると予測されています。これに合わせて生産能力の拡大や新しいモデルの開発、販売網を整備していかなくてはいけない。これまでと同様、大変な労力が必要です。

 加えて、新興国市場の中でも多様化が進み、中国、インド、ブラジルなどそれぞれの市場に合ったモデル開発が求められるようになります。また、自動車メーカーが不慣れなソフトウェア技術やアウトソース拡大に伴う業務委託先などをどのようにマネジメントするか、自動運転やシェアリングサービスといった新サービスモデルにどう対応するかといった新たな課題も出てくるでしょう。

 こうした量的拡大と質的多様化によって、地域別・技術別の高度で複雑なマネジメントが求められるようになります。

――具体的にはどのようなマネジメントが必要ですか。

 ビジネスやシステムが複雑になればなるほど、リスクや非効率性は高まっていきます。そのため、いかにリスク最小化・効率最大化を実現するかが非常に重要な経営課題となってきます。方法としては、デジタル化による経営の自動化や多様なステークホルダーとの連携、オペレーション品質・経営品質の向上があります。

 また、オープンイノベーションによって新たに取り込んだリスクへのマネジメントや、ビッグデータのアナリティクスに基づく需要と供給のマッチングによるサービスの効率化も重要なテーマになってくるでしょう。

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