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総務省が描く社会全体のICT化
IoT/ビッグデータ時代の日本の未来とは

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世界中の人々が交通系ICカードとスマートフォンを使って、移動も買い物もスムーズにこなし、競技観戦を楽しむ――。4年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックでは、こんな訪日外国人の姿を多数、目にすることになりそうだ。総務省では、2020年の東京大会に向けて、ICT化による都市サービスの高度化を推進するほか、本格化するIoT/ビッグデータ時代を踏まえ、情報通信政策の検討を急ぐ。情報通信国際戦局情報通信政策課の飯村由香理課長補佐、大内康次課長補佐に聞いた。

ICTを活用して日本のおもてなしを発信

飯村 由香理(いいむらゆかり) 総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課 課長補佐 1999年、総務省入省。主として情報通信分野に関わり、2014年8月より現職。2020年社会全体のICT化や個人番号カードのICTでの利活用拡大に関するプロジェクト検討などを担当。

――2020年に向けた社会全体のICT化推進に当たって、具体的にどのようなアクションプランが検討されているのですか。

飯村 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会開催を一つの契機とし、大会後のレガシーも見据えたICT基盤の整備およびユーザー目線に立って必要となるアプリケーション、サービスについて、懇談会では議論してきました。

 分野ごとの施策として、たとえば、言葉の壁をなくす観点での多言語音声翻訳対応の拡充や、観光・防災拠点における無料公衆無線LAN環境の整備促進、パブリックビューイングなどで感動を共有するための4K・8Kの実用放送に向けた環境整備、世界に先駆けた第5世代移動通信システム(5G)の実用化などが挙げられます。世界一安全なサイバー空間の実現には、セキュリティ対策も不可欠な要素であり、大規模サイバー演習の実施なども予定しています。

 また、それぞれのICT施策の横断的なアクションプランとして、「都市サービスの高度化」と「高度な映像配信サービス」を検討しています。都市サービスの高度化では、共通クラウド基盤を整備し、さまざまなサービス事業者が連携できる仕組みを検討しているところです。そのトリガーとなるのは、1枚あれば電車、バス、タクシーに乗れて、買い物なども可能な交通系ICカードとスマートフォンです。

 たとえば、訪日外国人が入国した際、「おもてなしアプリケーション」をダウンロードして言語など個人の属性情報を入力し、クラウド上に蓄積します。これを交通系ICカードやスマホにひもづけて街中にあるデジタルサイネージなどにかざすと、母国語で道案内が表示され、スマートな移動が実現できたり、競技場への入場や買い物の支払い、ホテルのチェックインがスムーズにできるなど、個人に最適な情報・サービスを提供することを目指しています。2016年度には先行導入地域による実証事業を予定しています。

 2020年の東京大会は、日本の先進的なICTを活用したおもてなしを世界に発信する大きなショーケースの場であり、アクションプランに沿って着実に推進していきたいと考えています。

――IoTやビッグデータ、AIといったデジタル技術が脚光を浴びたのは、最近のことです。アクションプランに影響を与えたことはなかったのですか。

飯村 懇談会を立ち上げた当初、各分野から最先端技術に関するプレゼンテーションをいただききました。しかし、2020年という、そう遠くないターゲットに向けては、ものすごく尖ったものを見せていくショーケースも大切ですが、非常に多くの人に実際に使ってもらい、スムーズに提供できるサービスの提供を目指し、いまある技術をいかにうまく組み合わせるか、が大変重要となります。

 未来を見据えつつ、まずは2020年にたくさんの人に使ってもらえること。さらには、東京だけでなく、地方創生にもしっかり結びつけられるよう全国展開を図っていくことも課題として考えています。

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