Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

大企業のオープンイノベーションには
4つの類型がある

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もう、自社の力だけでは
市場の変化するスピードについていけない

廣瀬 隆治(ひろせ・りゅうじ)
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
マネジング・ディレクター
東京大学工学部卒、同大学院新領域創成科学研究科修士課程了。2004年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクター。主に通信・メディア・ハイテク業界を担当し、他業界も含めた大企業向けオープンイノベーションに取り組む。

――なぜ今、オープンイノベーションが拡大しているのでしょうか。

 一言でいうと、大企業といえども、単独で継続的にイノベーションを起こし続けることが困難になっているからです。レイ・カーツワイルやイーロン・マスクらが唱えている通り、イノベーションは1つの重要な発明(インベンション)と他の発明が結びつくことで生まれるため、世の中に発明の量が増えるに従い、その組み合わせの爆発的な増加によってイノベーションの速度がどんどん加速しています。

 例えば、音楽メディアを見ても、レコードやカセットテープからCD、MD、ダウンロード、音楽配信という変遷の中で、一つひとつの利用形態のライフサイクルは段々と短くなり、新しいイノベーションが加速度的に次々と生まれています。

 研究開発や商品企画のすべてを自社で行っていては、こうした市場のスピードについていけず、投資に対する十分な効果を得ることが難しくなっているのです。

 時代は技術を重視して製品の改善を積み重ねるプロダクト・アウトから、エンドユーザーのニーズを重視するマーケット・インへと変わりつつあります。デジタルカメラを例に挙げると、1000万画素の高画質といっても多くのユーザーには響かない。どのくらいキレイに撮れるか、何枚記録できるかというよりも、手軽にシェアして楽しめるといった顧客体験(顧客価値)を提供することのほうが重要になっています。

 そこで注目されているのが、自社のコア事業だけでビジネスを考えるのではなく、そこに集まる顧客を中心に据え、どのような顧客体験(顧客価値)を提供できるかという発想でビジネスを構築するエコシステムです。自社の不得意な領域、あるいは研究開発に時間がかかる領域は他社と組む。そのための方法の1つが、必要に応じて外部の技術やアイデアを活用するオープンイノベーションなのです。

 優れた技術やアイデアを持つスタートアップ(起業したばかりの企業)にとっても、オープンイノベーションのメリットは大きい。大企業との協業がロケットスタートを成功させるビッグチャンスになるかもしれないからです。実際、自社の技術を積極的に発信し、大企業との協業につなげるベンチャーや大学が増えています。

 このように、これからの大企業は、スタートアップ、大学、公共・自治体といった社外の人々とつながり、解決すべき課題を見つけ出し、外部の新しい技術を取り込んだり自社の技術を開放したりすることで、対等な協業関係を実現することが必要。今、このマッチングが模索されています。

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