探索、把握、共有…
最高のリーダーが実践する3つの学習プロセス

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リーダーは自分自身と組織を時代遅れにしないために、絶えず学習に努める必要がある。働くことと学ぶことを同一視する筆者らは、「学ぶ」という行為を「探索、把握、共有」というシンプルな3要素に分けて考えることを勧める。


 F1レーサーのファン・マヌエル・ファンジオは、1950年のモナコグランプリで、前方が見通せない「タバコ・コーナー」の手前にあるシケイン(減速させるためのS字コーナー)を抜けた時、ブレーキを踏み込んだ。

 ただ、それはシケインを抜けたドライバーが取る行動としては、おかしなものであった。だが、そのおかげで彼は命拾いしたのではないか。ブレーキを踏んだことによって、複数の車が積み上がった事故現場に突っ込む事態を免れたのだ。事故現場はコーナーの先、ちょうど視界を外れる地点にあった。事故を回避したファンジオのこの行動は、レーシング界では奇跡として言い伝えられている。

 さて、なぜ彼は減速したのだろうか。

 レース前日、ファンジオは1936年に発生した事故の写真を見ていた。当日、タバコ・コーナーに近づいた時、彼は観客たちの様子について何か引っかかった。全体の「色」が普段と違っている。ファンジオは、自分の視界にあるのが人々の顔ではなく、後頭部であることに気づいたのだ。すなわち、道の先のほうで何かが観客の注目を集めているに違いない。その光景が、彼に前日に見た写真を思い出させたのである。

 ビジネスリーダーはファンジオのように、世の中を見渡して変化のシグナルを察知し、即座に対応できなければならない。私たちが暮らす世界では、心理学者ハワード・ガードナーの言う「サーチライト・インテリジェンス」がますます必要になっている。すなわち、点在する人やアイデアの間に、他者には見えないつながりを見出す能力だ。次に来るものを予測して、新たな未来で成功するためには、十分な情報に基づく視点がより重要になる。

「未来を予言する一番良い方法は、未来を自分の手でつくり出すことだ」という名言がある。だが、絶えず様相を変える競争環境において、ビジネスリーダーは何をどう読み解けばよいのだろうか。

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