日本企業が目指すべきは「起業家的組織」

コーポレート・アントレプレナーシップ【第1回】

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早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる人気連載「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。16人目に登場頂くのはアントレプレナーシップが専門の東出浩教教授だ。「コーポレート・アントレプレナーシップ」をテーマに、全4回でお届けする。

アントプレナーシップが求められる時代

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東出浩教(ひがしで・ひろのり)。
早稲田大学ビジネススクール教授。慶應義塾大学経済学部卒業。鹿島建設に入社し、建設JVのマネジメント・欧州での不動産投資の実務に従事。その後ロンドン大学インペリアルカレッジ修士課程修了(MBA)。2000年に同カレッジよりEntrepreneurshipを専攻した日本人初のPh.D.を授与される。
起業、創造プロセス、ビジネス倫理と哲学等が現在の主たる研究対象。ベンチャー学会副会長、各種公的委員会、東京商工会議所産業人材育成委員会ダイバーシティ推進専門委員会座長を務めるなど、学内外で幅広く活動している。

 先の読みにくい社会――不確実性の高い社会――においては、個人、グループ、組織は各々の生き残りのために、起業家的になっていく必要がある。現在どのような強みや経営資源を持っているかにかかわらず、変化の中で生まれつづけるビジネスの”機会”を先取りし、”驚き”のある手法で顧客への価値を創造していくことが大切だ。現在、我々は単純で変化に乏しい環境に置かれている、と考える人は少ない。

 実際、世界でのアントレプレナーシップ(起業家精神)教育は、主要なビジネススクールのみならず、大学や大学院などの高等教育の現場においては、分野を問わず非常に重要な学習領域の1つになっている。実績もついてきているようだ。世界トップ100のビジネススクール出身者のうち、実に22%が在学中もしくは卒業直後に起業し(アメリカの有力ビジネススクールでは、より高い起業比率となっている)、3年後には収入も全体平均を凌駕している。さらに、会社設立から3年後の生存率も84%と、一般的なスタートアップ企業の生存率に比べ、著しく高い成果を残している(注1)

 一方で、日本の起業意識に関する衝撃的なデータが発表された。2015年に、世界44ヵ国、49775名を対象に実施された起業意識調査(注2)において、日本人の起業意識の高低を示す指数は19ポイントで、2014年度調査に引き続き世界44ヶ国中最下位という結果となった。世界平均が51ポイント、中国・インド・タイなどのアジア諸国が軒並み80ポイントに迫る中で、日本の数値のみが著しく低い。「自分には起業に必要なスキルや経営資源があるか」という項目に関しては、わずか8%(世界平均47%)しか肯定的な回答を寄せていない。更に、自分を取り巻く社会環境が起業に対して好意的なものであると捉えている回答者の比率は30%(世界平均50%)にとどまり、昨年の調査に比べ、10%の急落を見せている。

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