経営学の巨匠ミンツバーグが示す
新たな経済社会とは?

序文公開――『私たちはどこまで資本主義に従うのか』

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 『戦略サファリ』『マネジャーの仕事』『MBAは会社を滅ぼす』…数々の書籍で有名なミンツバーグの最新刊『私たちはどこまで資本主義に従うのか』が、12月に日本でも発売となった。今回はその冒頭の「はじめに」の部分を、抜粋して紹介する。

社会問題を解決するのは誰か

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ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg) 1939年生まれ。カナダのマギル大学クレグホーン寄付講座教授。著書に『マネジャーの実像』、『MBAが会社を滅ぼす』、『戦略サファリ[第2版]』、『H.ミンツバーグ経営論』などがある。経営思想界のアカデミー賞と言われるThinkers 50で3人目となる生涯功績賞(Lifetime Achievement Award)を受賞。

◆もうたくさんだ!

 私たちの民主主義を、私たちの地球を、そして私たち自身を破壊しつつあるアンバランスな状況は、もうたくさんだ。

 左と右の両極を振り子のように行ったり来たりする政治はもういらないし、真ん中で身動きが取れなくなった政治もいらない。見えざる手と自由な競争が影を潜め、ビジネス界のロビー活動という「目に見える鉤爪」が幅を利かせる状況もうんざりだ。主権国家と地域コミュニティの力を蝕む経済のグローバリゼーションにも辟易だ。地球上の資源を──そのなかには人的資源、すなわち私たち自身も含まれる──不当にしぼり取る行為も、もうたくさんだと思わないか。

 胸を痛めているのは、街頭で抗議活動に参加している人たちだけではない。それよりはるかに多くの人たちが、現状を改めるべきだと思っている。しかし、実際になにが起きていて、その問題にどう対処すべきかは、十分に理解されているとは言いがたい。膨大な量の現状分析と問題解決策が示されてはいるが、得てして論者によって主張はまちまちだ。いま世界は、人類史上経験がないような抜本的刷新を必要としている。本書では、その包括的な道筋を提案するために、一つの統一的な見方を示したい。 

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