サイボウズの強い個性たちは何を描いたか

DHBR新連載「リーダーは『描く』」の取材現場レポート

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの連載「リーダーは『描く』」。年内最後の1月号にご登場いただくのは、サイボウズ社長の青野慶久さんです。青野さんと一緒にワークショップに参加したのは4人の社員のみなさん。5人はどんな「描く」を体験したのでしょうか。そのプロセスに迫っていきたいと思います(構成・新田匡央、写真・鈴木愛子)。

 

全員が手を挙げて参加したワークショップ

 この「リーダーは『描く』」は、紙面ではリーダーである企業トップ社長に登場いただいております。しかし、取材のワークショップで社員の方々にも一緒に描いてもらいます。その人選については先方にお任せしており、トップ自らあるいは広報の方が指名されるケースが多いようです。

 ところが、今回のサイボウズさんは自ら手を挙げた人たちばかりだというのです。そのためなのでしょうか。いつもは「自分に絵なんか描けるのかな」という不安の表情を浮かべる人が多いのですが、この日の参加者にはその表情がまったくありません。

 そんな好奇心旺盛な参加者は、サイボウズ青野慶久社長のほか、同社情報サイト「サイボウズ式」編集長の藤村能光さん、コーポレートブランディング部の渡辺清美さん、UX/UIデザイナーとして活躍する小田瑞恵さんと黒澤久美さんです。会場は、移転して間もない東京オフィス。一方がインテリジェントビルの27階から絶景を一望できる大きな窓、一方が総ガラス張りの開放的な会議室。いよいよ、ワークショップの始まりです。

 このワークショップは、もともと「絵はもっと自由に描いていい」ということを伝えるために子ども向けに考案されたプログラムで、それを大人向けにアレンジしたものです。現在では「Vision Forest」という組織変革アプローチのプログラムのひとつとして、アート教育の企画・運営やアーティストのマネジメントを行う株式会社ホワイトシップと、ビジネスコンサルティングサービスの株式会社シグマクシスが共同で企業向けに提供しています。本誌の連載「リーダーは『描く』」では、両社の全面協力のもと実際にワークショップを実施していただき、その様子を記事化しています。

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長谷部貴美さんによるワークショップ

 最初にホワイトシップの長谷部貴美さんが参加者に問いかけました。

「今日、絵を描くのを楽しみに来ていただいた方はいらっしゃいますか?」

 長谷部さんによると、企業のワークショップの場合、ほとんど手が挙がることはないといいます。しかし、サイボウズの参加者は躊躇なく手を挙げました。自ら志願してやってきた意気込みと好奇心は、こんなところにも表れているようです。

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谷澤邦彦(kuni)さん

 まずは鑑賞ワークからワークショップが始まりました。1枚の絵を見て、感じたことを書いていく作業です。さまざまな印象が出されるなか、会場の笑いを誘ったのは青野さんでした。

「お尻に見える」

 この感想に、この絵を描いたホワイトシップの谷澤邦彦さん(通称:kuniさん)がコメントを加えます。

「女子高生の卒業制作でもこの絵を見せたのですが、そのときはお尻という感想はひとつも出ませんでした。お尻という感想が出てくるのは、なぜか経営者の方ばかりです」

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サイボウズ社長・青野慶久さん

 青野さんは一瞬考え、すぐに口を開きました。

「どこかで答えを探さなければならないと思っているのでしょう。この場合の答えは、お尻という形です。絵を見て想像を膨らませるのではなく、クイズを解いているような感じになっているのかもしれません」

 多かれ少なかれ、私たちは純粋な目で絵を見る機会が失われています。参加者は、このワークショップでそれを打破できるのでしょうか。

 いつの間にか、青野さんは上着を脱ぎ、ワイシャツ姿になっていました。しかも、腕まくりをしています。描き始めるときに腕まくりをする人は少なくありませんが、どうやら青野さんは、誰よりも早い段階でスイッチが入ったようです。

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