Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

変革迫られる日本のものづくり
競争と協調で生き残りを賭けよ

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IoTやビッグデータ、人工知能といった新しいデジタル技術を活用し、効率的な社会・経済基盤を早期に実現することは、アベノミクスが掲げる重要課題の一つでもある。一方で、こうした破壊的ともいえるイノベーションは、従来型の日本のものづくりに脅威をもたらし、産業構造・就業構造の変革を迫ると危惧されている。わが国製造業に突きつけられた新たな課題と、国としての取り組みなどを経済産業省製造産業局ものづくり政策審議室の川森敬太氏に聞いた。

中小企業にもゲームチェンジのチャンスが到来!

川森 敬太(かわもりけいた) 経済産業省 製造産業局ものづくり政策審議室課長補佐
東京大学大学院工学系研究科を卒業後、経済産業省に入省。インフラシステム輸出、東京電力福島第一原子力発電所事故による被災者支援を経て、2014年7月より現職。インダストリー4.0やインダストリアルインターネットなど世界の製造業の潮流や国内のスマート工場の事例調査を通じ、「2015年版ものづくり白書」の執筆、製造業のIoT活用に向けた施策立案を担当。

――IoTをはじめとした新しいデジタル技術の発展は、経済、産業にどのようなインパクトをもたらしますか。

 IoTによって大きく変わったのは、さまざまなものの情報が容易に取れるようになったことです。いままでは、ものの情報やデータを収集しようとしたときにエレクトロニクス機器が必要でしたが、IoTでは、ありとあらゆるものにセンサーが取り付けられ、ありとあらゆるものが情報発信源になります。企業がつくった商品を消費者がどのように使っているのか、これを把握するためのインターフェースが爆発的に増えました。

 日本の製造業は、いいものはつくれるが、ものすごく売れるものやお客さんが求めているものをつくるのは苦手で、どうすればよいのか悩む企業は中小企業だけでなく大企業にも多いと聞きます。IoTによって、さまざまな情報が容易に取れるようになると、顧客視点のものづくり、顧客ニーズから派生してくるものづくりのトレンドが加速していくことが期待されます。

――日本企業にとっては大きなチャンスである半面、リスクでもあります。

 極端にリスクと思っている人が多いように見受けられますが、そこは意識を変えたほうがいいでしょう。IT、IoTといったツールはドイツやアメリカだけのものではありません。大企業に限らず、中小企業にとってもゲームチェンジのチャンスが到来しているのです。チャンスを活かして、いかに競争構造を変えていくのか。もっと自分たちが前に出ていくために、新しいツールを活用することを考えたほうがいい。

 ドイツのインダストリー4.0に関連しては、世界最大の産業機械見本市「ハノーバーメッセ」が有名ですが、会場にはシーメンスや自動車関連企業など名だたる大企業の展示に並んで、名もなき中小企業が競うように、つながることをコンセプトにした新商品の売り込みをかけていました。日本では、「IoTなんて大企業の話。わが社には……」という中小企業が多いのですが、前向きにとらえ、どんどん投資をして、変革していけば、大きなチャンスとなるでしょう。 

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