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IoT、ビッグデータから「未踏」の領域へ
IT人材のミスマッチを正す環境整備を急げ

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急速な進化を遂げるITはいま、大きな節目を迎えている。クラウドコンピューティングやスマートデバイスの普及は、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)という新たな価値創造の仕組みを実現して、産業にパラダイムシフトをもたらそうとしているのだ。そんな時代のIT人材のあり方、育て方とは――。IT人材に関する調査やIT人材育成事業を行っている独立行政法人情報処理推進機構(IPA)IT人材育成本部の山﨑江津雄、長澤良次の両氏に聞いた。

差別化のカギIoT、ビッグデータを使った価値創造に求められる能力

――ITの世界でいま、注目されているテーマは何でしょうか。

山﨑 江津雄(やまさきえつお)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA、Information-technology Promotion Agency)IT人材育成本部IT人材育成企画部企画グループ主任
2015年春に発行された「IT人材白書2015  新たなステージは見えているか~ITで“次なる世界”をデザインせよ~」の編纂を担当。現在、同白書の2016年版に向けた調査を進めている。

山﨑 やはり、IoT(モノのインターネット)でしょう。これからは、IoTが企業の製品、サービスを差別化するための価値の源泉になると考えられています。IoTはモノがインターネットにつながるという意味でとらえられていましたが、いまはそれだけに留まらず、浸透したIoTの仕組みから得られる膨大なデータ、ビッグデータを解析し、新たな価値を創出することも含めた広い意味を示すようになっています。IoTはあらゆる産業でイノベーション、新サービス、新しいビジネスモデルを生み出す可能性があり、IT人材白書2015、そしてIT人材白書2016の発行に向けた2015年度調査でも、IoTに重点を置いて調査をしています。

――IT人材白書2015から見えてきたIT人材像とは、どのようなものでしょうか。

山﨑 IoTの進展はIT技術者に求められる技術力の領域を変えつつあります。たとえば電気製品などを動かすための機能を組み込むソフトウエア開発を担う、組み込み技術者の仕事は従来、その製品のなかだけで完結していました。しかし、IoT時代には、ネットワークを介して、その製品を外につなげる技術も、組み込み技術者に求められてきています。 IPAの調査でも、組み込み技術者は、今後、新たに重要性を増すと見ている領域(今後必要になる技術力が、現状必要と考える技術力を大きく上回った領域)として、ウェブ、情報セキュリティ、スマートデバイスなどを挙げています。また、モバイル開発関連の技術者に対する調査ではM2M(Machine to Machine、機械同士がネットワークを介して情報をやりとりすること)、ビッグデータ解析、クラウド関連などの技術の重要性が増すという見方が浮かび上がってきます。どちらの技術者も、これまでの専門分野とは異なる技術が求められるようになると考えています。

 IoTで得られるビッグデータを活用して、ビジネスに結びつけるには、ITスキルだけでなく、データ分析スキル、対象業務を理解するビジネススキルの3つのスキルが必要になります。ただ、現実的には、3つのスキルをすべて兼ね備えた人はほとんどいませんから、それぞれのスキルを持った人材を集めて、チームを編成することになるでしょう。そうなると、チームをまとめ、統括する力、事業部門などにデータ活用の意義を説明して、協力を取りつけられるコミュニケーション力といったものも大切になってきます。IoT推進には、多様で、幅広い能力を持った人材が求められるのです。今後求められる人材と、技術者が現状で持っているスキルとの間にはギャップがあるといえるでしょう。 

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