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ベンチャー・キャピタリストが語る
投資対象としての技術ベンチャーの魅力

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ウーバーはカリフォルニアの自動車文化を根底から変えた

――アメリカのベンチャー企業にも投資しています。

  日本のやり方とは少し違います。伊藤忠グループとビジネスができそうな企業に出資をすることによってリスクの軽減を図るといった投資が中心です。

  アメリカでは最近、ヘッジファンドやミューチュアルファンド(投資信託)が、未公開株の分野に入ってきておりベンチャー投資の資金は豊富です。日本のベンチャー投資の金額が千数百億円であるのに対して、アメリカは4兆円くらいあるといわれています。そんな市場で高い持ち株比率を確保するような投資は難しい。ですから、投資手法は日本と違うわけです。

   余談ですが、アメリカでは、未公開であるにもかかわらず1ビリオン(10億ドル)の企業価値がついた企業をユニコーンと呼んでいます。ユニコーンは想像上の動物。つまりありえないという意味ですが、現在、ユニコーンは全世界で140社以上あります。

――国内外を問わず、これはインパクトが大きいと思った企業や技術は何ですか。

  配車サービスのウーバー(Uber)です。シェアリングエコノミーの代表的企業で、まだ未上場であるにもかかわらず、アメリカでは6兆円の企業価値があると評価されています。ちなみに伊藤忠の企業価値は2.5兆円ですが(笑)。

  ウーバーは、アプリでライドシェアの仕組みを提供している会社です。まず自動車を持っている人がウーバーに登録します。車に乗りたい人がアプリでウーバーに連絡すればいちばん近くにいる車がやってきます。ウーバーには利用者による運転手の評価システムがあり、悪ければクビになります。ですから運転手の応対は非常に丁寧です。また、どの車もきれいに清掃されています。自分の車を使っているうえに、清掃状態を利用者からチェックされるからです。料金もタクシーよりはるかに安い。結果、利用者と提供者がどんどん増えて、いまでは5分も待たずに利用できます。

  ウーバーはカリフォルニアの自動車文化を根底から変えつつあると思います。カリフォルニア州では大半の自動車は一人で乗っています。だから車の台数がむやみに増えて、高速道路は大渋滞し、環境負荷も高まります。当局は、何度も複数人で乗車するように呼びかけていました。二人以上乗っている車のために空いた専用レーンを設けるといった誘導措置もしていましたが、いっこうに改善されない。こういう環境だからタクシーもあまり普及せず、出張者はレンタカーで移動するのが常でした。

  それが、ウーバーの登場によって一変しました。住民は気軽にウーバーを利用するようになり、出張者もレンタカーを借りなくなった。行政がいくら取り組んでもできなかったことをウーバーはアプリ一つでやり遂げたのです。もちろん、アプリの開発そのものは難しくはありません。シェアリングエコノミーも当たり前の概念になってきました。重要なのは何をシェアするのかという発想力です。この分野では、自分の家を旅行者に貸すという仕組みを提供しているエアービーアンドビー(Airbnb)も急成長しています。

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