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ベンチャー・キャピタリストが語る
投資対象としての技術ベンチャーの魅力

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――投資先の一つ、WHILLのスタイリッシュな電動車椅子が、2015年度グッドデザイン賞の大賞を受賞して話題になっていますが、どのような点に着目したのでしょう。

2015年度のグッドデザイン大賞を受賞したパーソナルモビリティ [WHILL Model A] (写真提供/WHILL 株式会社)

  この車椅子は四輪駆動で、前輪は24個の小さなタイヤで構成されています。小さなタイヤをたくさんつけることで複雑な動きが可能になり、その場で自由に回転したり、芝生、砂利道、でこぼこ道などを自由に走れます。

  車椅子をスマートフォンのアプリで遠隔操作することもできます。たとえばベッドに移った後は、車椅子はじゃまなので部屋の外に移動させ、必要になれば呼び寄せる。あるいは自動車への積み込みをリモートで行うといった使い方もできるでしょう。ロボティクスとも、IoTともいえる技術です。この車椅子なら世界最大の車椅子マーケットであるアメリカで売れると可能性を感じて投資に踏み切りました。

  WHILLの創業者は日産自動車、オリンパス、ソニー出身の技術者3人です。開発のきっかけは、ある障害者から、「そもそも車椅子に乗ること自体に抵抗がある」「100メートル先のコンビニに行くこともあきらめる」といった話を聞いたことだそうです。だから、心理的抵抗を取り除くため、障害者を対象にした車椅子ではなく、健常者も対象にした「パーソナルモビリティ」として開発したわけです。

  彼らが試作品をつくって東京モーターショーに出展すると大評判になりました。しかし、実際に商品化となれば数十億単位の資金が必要となります。この段階で私たちは出資を決めました。一台の価格は99万円。すでに300台程度を販売しました。海外での販売も増えています。

 WHILLはアメリカに本社を置き、現在、日本の厚労省に当たるFDA(アメリカ食品医薬品局)から医療器具として認可されるのを待っているところです。認可が下りれば、購入時に保険の対象となるので、そこから本格的なマーケティングを開始する予定です。

――投資先は、WHILLのように創業間もない企業が多いのですか。

  創業期のステージには、アイデア段階のシードステージと呼ばれる段階と、アイデアが固まり方向性が見えてきたアーリーステージがありますが、私たちが対象とするのは主にアーリーステージからです。加えて、成長期のミドルステージでも投資をします。成長期には従業員が増え、オフィスも設備も拡大しているので資金需要は旺盛です。

  案件については持ち込みもあれば、こちらから探すこともありますが、意外に多いのがシードステージに投資しているエンジェル投資家、アクセラレーターなどからの紹介です。いずれもシードステージからアーリーステージに移りつつあるタイミングです。紹介者のスクリーニングがかかっているので、クオリティが高い案件が多いですね。

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