日本的経営モデルを「上書き」する 

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この連載では、グローバルに急成長する新興国企業(EMNC)の何が優れているのかを解説してきた。では、彼らの台頭から日本企業は何を学ぶべきだろうか。最終回となる今回は、これまでの要点を振り返りながら、日本企業の海外成長モデルへの示唆を整理する。

新興国企業も、万能ではない

 これまで5回にわたり、グローバルに飛躍を始めた新興国企業(EMNC)の強さを見た。この連載のように新興国企業を紹介すると、否定的な反応にぶつかることも多い。たとえば新興国企業を紹介した雑誌記事でも、そもそも業績などが優れた企業だからこそ取り上げるのであり、どうしてもそれら企業を褒め称える論調になってしまう。そのため、「そんなにうまいことずくめの話があるはずがない」という、健全な疑いの目が向けられる。

 経営者や研究者と議論すると、必ず登場するEMNCへの懐疑論がある。それは、次のようなものである。

EMNCは単に立地の強みを活かしているだけである
彼らは天然資源や低コスト、高度成長する母国市場など、立地のアドバンテージを生かしているにすぎない。その経営に、特別な強みなど無い。

EMNCと先進国企業では戦略の前提が違いすぎる
彼らの経営手法は「持たざる者の経営」かつ「キャッチアップ型モデル」であり、「持つ者」である先進国企業とは前提があまりに違うので、参考にはならない。

EMNCの成功は一過性にすぎない
どのような多国籍企業も昔は新興企業だったのであり、新興国企業も今は一時的な経済成長でもてはやされているが、いずれ勢いは弱まって輝きを失う。

 これらのポイントは、どれも全くの的外れではなく、それが当てはまる局面もある。また当然だが、全ての新興国企業が大成功しているわけでもない。EMNCにはEMNCの苦労があり、彼らは彼らで必死に苦闘を続けているのが実態である。

 しかし、その中で成功を見せつつある企業が、多くの先進国企業に欠けた新鮮な力を持つことも事実である。むやみに彼らを偶像化する必要は無いが、冷静にその実態を見極め、優れた点を学ぶことには意味がある。

 ではあらためて、EMNCが見せる成功のカギとは、何だろうか。

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