ブロックバスター戦略から見える
圧倒的な人材が価値を生む時代への潮流
――書評『ブロックバスター戦略』

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ヒットの法則は昔から取沙汰されてきたが、近年、映画や音楽、書籍などでもメガヒットが多発している。この現象を解説したのが、『ブロックバスター戦略』である。圧倒的な影響力はいかにつくられるかを読み解く一冊である。

 

ロングテールか、ブロックバスターか

 インターネットという巨大な空間の登場は、多様な価値観を容認する場でもある。従来の店舗では物理的に困難だった、多様な商品を並べることもでき、売れる商品が多様化するという見方が広まった。その代表が、ロングテールの法則である。2006年に、元『ワイアード』の編集長クリス・アンダーソンが出版した『ロングテール』は日本でも話題になり、多様な商品の小さな売上げの集積が大きな利益をもたらす、新しい収益源の発掘として注目された。

 一方で、ネット社会になり顕著なのが、メガヒットの登場である。とりわけSNSの登場により、情報の拡散力が爆発的に強まり、一部で話題になったものが一夜にしてマスに広がる現象が多産されるようになった。

 本書『ブロックバスター戦略』はそんなメガヒットの法則を分析するものだ。「ブロックバスター」とは、元々は軍事用語で、英語では、圧倒的な影響力を表す比喩として使われている。映画館の席(ブロック)が埋め尽くされる様相を示し、大型ヒット映画の代名詞となっている。英国レンタルビデオチェーンの社名である「ブロックバスター」も、映画を意識して命名されたものであろう。

 ブロックバスターの現象は、主に、映画、音楽、スポーツなどのエンターテインメント業界で表出化している。1999年にワーナー映画のCEOに就任したアラン・ホーン氏は、年間制作映画の25本のうち、4~5本に経営資源を投入し、圧倒的な販促活動を実施することで、会社全体の利益を大幅に伸ばした。上位2割のタイトルが、全体の8割以上の利益をもたらす。この選択的投資に舵を切ったことから、同社の成長に拍車をかけたのだ。

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