キャリアに迷う子どもたちに、
親として何を伝えるべきか

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就職活動やその後の進路に悩む娘・息子に、親はどう助言すればよいのか。キャリア支援の世界的大手、スペンサースチュアートのシニアパートナーがその心得を伝授する。

 

「我々取締役の夕食会では、食後の雑談の席ではいつも子どものキャリアの話になるんだ」――デイビッド・カルフーンは先日、筆者にこう話した。「正直言って、息子や娘にどうアドバイスすればいいのか途方に暮れることが多い」。

 カルフーンはニールセンの取締役会長であり、ボーイングとキャタピラーの取締役会、およびブラックストーンの経営委員会にも名を連ねる人物だ。これほどの経験の持ち主でさえ頭を悩ませるのだから、多くの親も同じ問題を抱えているはずだ。

 たしかに、昨今のキャリア形成の実情や仕事の見つけ方について、息子・娘にアドバイスするのは難しい。「良い仕事」を得る方法となればなおさらだ。親ならば誰であれ我が子を愛しており、有意義で幸せで自立した人生を送れるようにしてやりたいと願うものだ。しかし一方で、親のアドバイスはほとんど当てにされていないかもしれない。世の中は、親世代が新卒で就職活動をした時代とは様変わりしている。子どもたちは、親がそのことに気づいていないと思っているかもしれない。さらに、親の意図がどうであれ、その助言は「自分以上に成功してほしい」という親の期待であると受け取られることが多い。そうなれば、どれほど善意に満ちた助言でも子にはストレスとなってしまう。

 では、子どものキャリア設計をサポートする際に、やるべきこと、避けるべきことは何だろうか。

 親がまず伝えるべきは、キャリア初期においては経験や実績よりもポテンシャルが評価される、ということだ。筆者はキャリアの初めの数年を「野心追求の段階(Aspiration Phase)」と呼んでいる。知的エネルギーと対人能力を積極的に養い、熱意と労働倫理と活力を持って組織のために働く時期だ。発見、学習、知識吸収に努める段階であり、ここでキャリアの基礎が築かれ将来が左右される。この時期における最大の目標は、自分の強みと興味対象を見出すこと、そして労働市場で通用するスキルを身につけ始めることである。できるだけ多様な課題や任務に取り組み、同僚や友人、メンターからフィードバックをもらい、強み(と弱み)を見極めなければならない。

 子どもが20代半ばから後半になると、「約束の段階(Promise Phase)」に入る。この段階では自分の価値が、報酬や昇進、花形の任務、優れたメンターとの出会いなどを通して認められるようになる。興味の対象と強みは引き続き追求しなければならない。しかし同時にカギとなるのは、特定の専門的スキルにおいて実績と評判を築き始め、その過程で組織に有意義な貢献をすることである。

 この段階では、自問によってみずからを知るよう促すとよい。自分は1人で働くのが好きなのか、それとも小さなプロジェクトチームがよいのか、あるいは大きな組織での仕事が向いているのか。テクノロジーや金融のような実入りの良い業種につきものの、深夜残業や休日労働に本当に耐えられるのか。勝ち組と負け組が分かれるような競争の激しい環境で、自分はうまくやっていけるタイプなのか。あるいはチームワークや職の安定を大切にする文化を好むのか――。こうした問いに正直に答えることは、自分にふさわしいキャリアパスを歩むうえで役に立つ。

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