グローバル時代を生き抜くための「教養」
――書評『異文化理解力』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第13回はINSEAD客員教授のエリン・メイヤー氏の『異文化理解力』を取り上げる。

文化の見取り図:「カルチャーマップ」

 企業の成長にとってグローバル化と多様化は不可欠のものとなった。世界中のさまざまな国で生まれ育った人々とビジネスを進める場面は今後ますます増えていくにちがいない。

 こうした人々とうまく意思疎通を図るにはどうすればいいか。私たちはまず、外国語能力を身につけることを考えがちだが、異文化コミュニケーションには、語学よりも大切なものがある、とは以前からよく指摘されている。しかし、英語と最もかけ離れた言語の一つといわれる日本語を母語とする私たちにとって外国語の習得はハードルが高く、それだけにまず語学能力に目が向いてしまうのは致し方ないことなのかもしれない。そんな私たちに、真の異文化コミュニケーションのためには、育った環境や価値観が異なる人をきちんと理解するには、やはり語学だけでは不十分なのだ――と認識させてくれるのが本書『異文化理解力』である。

 本書の核となるのは、著者がグローバル・エグゼクティブに異文化マネジメントを教えてきた経験をもとに開発した異文化理解ツール「カルチャーマップ」である。これは文化の見取り図といってもいいもので、コミュニケーションの図り方や評価のフィードバックの仕方、説得の方法、リーダーシップの取り方、決断の方法など、ビジネスのさまざまな場面に関わりのある8つの指標について、各国の分布が示されている。たとえば、コミュニケーションならば、明確で曖昧さのないメッセージがよしとされるのか(ローコンテキスト)、それともその場の状況を読んで言外の意味を含ませるようなほのめかしのメッセージが好まれるのか(ハイコンテキスト)、その程度によって、アメリカ、日本をはじめとする各国(アジア、欧州、中東、中南米などの20数カ国が分析対象になっている)がマップ上に位置づけられる(ちなみに日本は最もハイコンテキストの国として位置づけられ、その逆はアメリカである)。本書では、このカルチャーマップを豊富な事例を引きながら丁寧に解説し、異文化理解の本質を説いていく。

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