外部資源とネットワークを最大限に活用する

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グローバルに台頭する新興国企業(EMNC)には、4つの特性に基づく行動原理がある。前回まで、そのうち「可変性の高さ」と「現実志向」を紹介した。これらに続く3つ目の特性として見逃せないのが、「他人のリソースの使い方のうまさ」である。引き続き食品飲料企業を題材に、EMNCが見せる、M&Aをはじめとしたアライアンスの巧みさを考える。

「持たざる者」の強み

 新興国企業(EMNC)は、自社で全てを解決しようとしない。足りないリソースや知見は、アライアンス(M&Aを含む他企業との提携関係)で外から補完することができる。EMNCは、他社の資源も活用して目的を実現する。「持たざる者」であるEMNCは、「持つ者」である日本企業と違い、足りない強みは外部から調達することを前提に、戦略を練る。

 単にM&Aが重要だということなら、日本でもすでに言い古されている。実際に、日本企業においても、かつてはほとんど見られなかったような大胆な大型企業買収が増えている。では、EMNCのM&Aや企業提携は、日本企業と具体的に何が違うのだろうか。

 EMNCが海外成長を狙って攻める提携のやり方を広く観察すると、そこには大きく3つの際立ったパターンがある。

1.規模拡大が競争力に直結するモデルで、次々にM&Aを重ねる
2.アライアンスを通じ、自分自身を作り変える
3.他人の武器を借りて、ターゲット市場を狙い撃ちする

 事例を元に、順にポイントを整理してみよう。

規模の拡大が競争力に直結するモデルを打ち立てる

 たとえば、第1回にも登場したブラジルのJBSは、第1のパターンを体現している。同社は牛・豚・鶏を合わせた肉の生産加工で世界最大の企業であり、加工食品も手がける。

 JBSの特徴は、その恐るべきスピードのM&A戦略と実行にある。同社は2005年以来、国内外で10数件の大型M&Aを成功させ、国際展開を急速に進めた。特に2007年から09年にかけて、米国の同業上位企業4社を立て続けに買い、世界最大の動物たんぱく質供給企業となった。並行して豪州・欧州でも買収を行い、昨年も豪州のハム・ベーコン最大手や、米国首位企業のラテンアメリカ事業を買うなど、その勢いは衰えない。10年前には十数億ドル(2000億円弱)の売上しかなかったが、2008年度には売上が160億ドルを超え、それから2014年までにさらにほぼ3倍(5兆円以上)の売上に急拡大している。

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