ケロッグスクールは、
卒業生・在校生が入学者を選ぶ?

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本連載では、米国でDean of Deans(ディーンの中のディーン)と呼ばれたケロッグ経営大学院の名ディーン、ドン・ジェイコブスを紹介するとともに、ケロッグ校の改革の軌跡を追う。第3回は、学生を集める大胆な取り組みについて(写真:© 2015 H&K Global Connections Inc.)

 

リーダーシップとチームアプローチ

 あるとき、組織行動論の教員が「今我々がやっている教育ではこれからの働き方の変化に対応できない。ピラミッド式でなくチーム方式のウェイトをどんどん増していかねばならない」とジェイコブスに進言したという。

 前回の脱ケースメソッドでも述べたが、当時、未来の企業組織は強固なピラミッド組織から、よりフラットでカジュアルな組織に変遷すると考えられていた。これによって、内外のメンバーらとチームで働くことが多くなるという大きな変化が見込まれ、必要とされるリーダーシップのあり方も変わってくる。リーダーシップとは,いま自分が何かをしなければならないと思ったとき,自らの旗を掲げ,周囲に働きかけていくことである。ピラミッド式組織ではリーダーはトップに1人いれば良いが、チーム中心の組織では、どの階層やグループにもリーダーシップが求められるのである。

 現在から考えると当然の変化だが、1970年代に、このチーム中心の組織の話を聞いて確信し、教育方法から入試までの一連の変革を行ったジェイコブスの先見性には舌をまく。

 では、どのようにして新しいリーダーシップを育てる教育を実現したのか。そのためには、あらゆる施策が首尾一貫していなければならなかった。個人同士の競争だったケースメソッドをチームで競わせる方式に変え、あらゆる課外活動でのリーダーシップを賞賛して奨励し、入試方法も変えた。

チームアプローチの教育法

 従来のケースメソッドでは、効率的な予習のためにグループで準備することが奨励されるが、点数になるのは個人の発言である。90分の中で良い発言をすれば点が与えられる。試験はケースの分析と提言だが、これも個人の勝負である。これを繰り返すことで意思決定力と説得力に優れたピラミッド組織に最適な経営人を輩出する。

 一方、ケロッグでは同じケースを用いながらも、毎週グループで書くケースライトアップというレポートで採点され、グループは全員同じ点を貰う。これを繰り返す中で、どんな人と組んでも成果を出すことを学ぶ。すなわち、「異なる力を持った人それぞれにいかにその強みを発揮してもらうか」、「異なる価値観やバックグラウンドを持つ人をいかにモチベートするか」、「いかに一つの方向にまとめ上げるか」、ということを身につける。一度グループを組んで信頼関係を築いた人間とは自然と別のクラスでもグループを組み、新しいメンバーも加えて信頼関係の輪が広がってゆく。

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