戦略的に「逃げる」という選択
――書評『競争しない競争戦略』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する本連載。11回目は、『競争しない競争戦略』を取り上げる。

勝ち残るために競争は必須ではない

 企業が成長するために競争は不可欠だと思われがちだ。とりわけ、市場における2番手以降の企業は、リーダー企業から少しでもシェアを奪うために、終わることのない価格競争へと突入したり、顧客にはわかりづらい部分で必死に差別化を進めたりなど、消耗戦を強いられることも少なくない。

 本書は早稲田大学ビジネススクールで教鞭をとる山田英夫教授が「競争しない競争戦略」という新たな戦略を提示し、消耗戦から抜け出すための3つの選択肢を打ち出している。本書では競争がゼロになることを目指しているわけではない。「競争しない」とは、「既存の業界リーダー企業と戦わないこと」と定義されており、「できるだけ競争しない状態が企業に収益をもたらす」という前提から、どのようにその状態を作っていけばよいのかを明らかにしているのだ。

 競争の無い市場の創造は長きに渡る企業の夢であり、経営学で研究されているテーマでもある。マイケル・E・ポーターの競争戦略の基礎にもなっているSCP理論の骨子は「自社の競争環境をいかに完全競争から引き離して、完全独占の方へと近づけるのか」であるし、W・チャン・キムやレネ・モボルニュが著した『ブルー・オーシャン戦略』では競争のない市場を創造するためのツールやフレームワークが提示されている。

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