気仙沼の次世代を担うホープは
どんな絵を描いたか

DHBR新連載「リーダーは『描く』」の取材現場レポート

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー9月号での連載「リーダーは『描く』」は気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さんに登場いただいた。今回の「描く」ワークショップは気仙沼で実施。一緒に描いたのは、気仙沼の次世代を担うホープたちである。(構成・崎谷実穂、写真・鈴木愛子)。

 

3人のホープたちが、白・青・赤の服で登場

 今回の「リーダーは『描く』」のレポートは、気仙沼ニッティング代表の御手洗瑞子さんを迎えて、気仙沼からお送りします。会場は気仙沼観光タクシー、通称BEXIの本社です。建物の入り口につくと、魚の絵が描かれたかわいらしいタクシーが! 思わず駆け寄ると、ドライバーさんが「これは『秋刀魚丸』。あとカツオや鮫など、ほかにもいろいろありますよ」と教えてくれました。BEXIではこれらの車両で、気仙沼を案内するツアーも用意しているそうです。

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色鮮やかな気仙沼観光タクシー

 建物内に入ると、白と赤で統一されたスタイリッシュな内装に目を惹かれます。2階に上がり、絵を描く場所となる「Benriya Hall」につきました。大きな窓から中庭の緑が鮮やかに見え、思わずスタッフから「わあー!」という声が。足を踏み入れると、木のいい香りが漂ってきます。BEXIの本社は、京都の三角屋という数寄屋建築を得意とする工務店が手がけたそう。フレッシュなさわやかさと、たくさんの人を広く受け入れるあたたかさが感じられる空間です。

 その部屋に、今回絵を描くメンバーが順々に現れました。メンバーは、御手洗さんが「気仙沼の次の時代を担う経営者」というテーマで声をかけてくださった、株式会社斉吉商店の斉藤吉太郎さんと、気仙沼観光タクシー代表取締役の宮井和夫さん。斉吉商店は、百貨店の物産展などですぐに売り切れてしまうさんまの煮付け「金のさんま」などをつくっている、気仙沼屈指の水産加工品の会社です。御手洗さんが白いシャツに緑のパンツ、斉藤さんが青いシャツ、宮井さんがBEXIマークの入った赤いポロシャツと、色とりどりの服を着た3人がテーブルにつき、ワークショップスタートです。

 このワークショップは、 “Vision Forest”という組織変革アプローチの一部で、アート教育の企画・運営やアーティストのマネジメントをする株式会社ホワイトシップと、ビジネスコンサルティング・サービスの株式会社シグマクシスが共同で提供しているプログラムです。本誌の連載「リーダーは『描く』」の取材では、この2社にご協力いただき、実際にワークショップの一部を実施していただいております。

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「KUNI」さんこと、谷澤邦彦さん

 まずは絵を鑑賞するワークから、アートの世界に少しずつ入っていきます。アーティストの谷澤邦彦(KUNI)さんが東京から持ってきたのは、窓から見える初夏の景色にぴったりな、緑を基調とした絵画。こちらを眺めて、感じたことをポストイットに書いていきます。

 斉藤さんが書いたのは「小学校の時キライだった先生の音楽の授業」というユニークな感想。そして、「元旦の気仙沼 岩井崎に行ったとき」。

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左:斉吉商店の斉藤吉太郎さん、右:気仙沼ニッティングの御手洗瑞子さん

「小学校の時の音楽の教科書が緑色だったんです。で、これを見ていたら音楽の授業が嫌だったな、という気持ちを思い出しました(笑)。あとは、気仙沼に岩井崎という岬があって、そこに中学、高校と友だちと元旦に行ってたんですよね。元旦だから全然緑色には見えないんですけど、岸壁っぽい感じがするなと思って」(斉藤)

 宮井さんからも「気仙沼っぽい」という感想が。「僕らが住んでいる内湾がこのあたりで、ここが山で……」と、絵を指さしながら解説してくれました。あとは「日本昔ばなしのオープニングの龍みたい」というおもしろい意見も。

 御手洗さんの感想は「ゆらゆらしている、朝、霧のかかった道、迷子、夢か人口の世界か、山かなと思うけど近づいたらきっと違う」。絵の緑の色が自然の緑とは違うと感じ、こういった感想が出てきたそうです。

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左:気仙沼観光タクシーの宮井和夫さん

 皆さんの感想のあと、KUNIさんが「これは、自分の心の中に吹いている風を表現した絵」と解説し、「僕の考えるアートは、評価をするものでもされるものでもない。うまく描かなきゃいけないと思って絵を描くことから離れてしまうのは残念だと思い、このワークショップをやっています」と話しました。

 

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