転職11回。会社から得たいのは
お金でなく、自分の成長

対談:尾原和啓(Fringe81執行役員)×篠田真貴子(東京糸井事務所CFO)【前編】

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リンクトインの創業者、リード・ホフマンらの著書『ALLIANCEアライアンス』では、終身雇用に変わって、人と企業が信頼関係を築きながら仕事に応じて雇用関係を結ぶことを提唱している。この「アライアンス」の働き方を実践されてこられたのが、尾原和啓さんである。過去12社を経験してきた尾原さんと、『ALLIANCEアライアンス』の監訳者である、ほぼ日の篠田真貴子さんが、新しい働き方について対談する。

 

11社12職を経験した末にたどりついた境地

篠田:尾原さんとは以前からお付き合いさせていただいておりますが、まずは改めて、尾原さんの華々しい職歴からお聞きしてもよろしいですか。

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尾原 和啓(おばら・かずひろ)
Fringe81執行役員。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。阪神・淡路大震災時の避難所ボランティアの経験から、仕組みやプラットフォームに強い興味を抱く。マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、Google、楽天などを経て現職。インドネシア・バリ島在住。著書に『ITビジネスの原理』があり、新著『ザ・プラットフォーム』はKindle版ビジネス書部門で1位を獲得。

尾原:簡単にお話ししますね。大学院で人工知能の研究をして、修了と同時にマッキンゼーに入りました。ここでiモードのプロジェクトに出会い、独立してNTTドコモと契約し、iモードの立ち上げに携わります。そこで、当時NTTドコモの部長だった松永真理さんという「不思議な生き物」に出会い、この人を生んだリクルートに興味が湧いてリクルートに転職します。

 しばらくすると、高校時代から尊敬していた真田哲弥さんから会社を手伝ってほしいと言われます。真田さんはネット人脈の「ハブ」のような人で、面白そうだったのでリクルートを辞め、KLab(クラブ)の立ち上げを手伝います。

 1年間で軌道に乗ったので、こんどは冨山和彦さん(経営共創基盤社長)という「バケモノ」のところで地方再生と新規事業の立ち上げをやります。冨山さんのところで2年間学び、そろそろ次の仕事をやりたくなっていました。

 でもその前に、KLabの親会社サイバードが新規事業部を立ち上げるというので、サイバードの社長室に行きます。時は地デジへの移行の時代でした。NHKさんとの実験的プロジェクトや、地方のテレビ局と新しいテレビ番組の立ち上げに関わります。

 その後、またベンチャー立ち上げを経て、そろそろリクルートは僕のような変なヤツが必要な時期になったのではないかと思い、リクルートに電話したんです。たまたま役員会が開かれていて「尾原が戻りたいらしいよ」「いいんじゃないの」という簡単なやりとりで再びリクルートへの入社が決まります。ちょうどウェブ2.0という言葉が出始めたころで、インターネットのマーケティングを中心に活動しました。

 リクルートにはほぼ3年いましたが、さすがにやることもなくなってきたので、今度はオプトという会社に経営企画室長の肩書きで行きます。広告の配信がテクノロジーによって変わっていく潮目で、2年間にわたってアドテクノロジーの基礎を立ち上げます。

 リーマンショックはそんなころに起こりました。新しいことをやり続けたいのに、ジャパンパッシングで日本では新しいことができる気がしなくなったのです。もともと僕は英語ができなかったので、外に出て行くために英語を勉強しようと思い立ちます。そのために最適な場所はどこか。考えているとGoogleが日本でモバイルを立ち上げたいという情報が入ってきます。僕は、日本のモバイルの黎明期を裏側まで知り尽くした男です。下手な英語を駆使してそう売り込むと、Googleは僕を買ってくれたのです。日本でのモバイルビジネスに携わり、その後Google+やGoogle Nowなどの新規事業を立ち上げます。居心地がよかったので、Googleには38ヶ月在籍します。

篠田:3年ちょっとですか。

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