デジタル時代のブランド広告効果測定(1)
いかに正確さを追求するか

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・好きな人ほど広告を記憶している「記憶バイアス」
 ある広告を覚えているかをアンケートで確認し、覚えている人といない人のブランド好感度を比較すると、覚えている人のほうが高いスコアを示すことがある。しかし、人は自分にとって関心のある広告(もともと好きなブランドなど)ほど覚えているものである。つまり、検証の対象となる広告に接触して好感度が上がったと考えるよりも、そもそも好感度が高い人ほどその広告を記憶しやすいと理解した方が正しい。

・いつも売れる時期に広告を打つ「季節性バイアス」
 商戦期に広告キャンペーンを展開し、その前後のアンケートで購入意向を比較すると、キャンペーン後のほうが高いスコアを示すことがある。しかし、多くの商材はそれぞれ需要が伸びる特別な時期(夏の日焼け止めなど)がある。そのため、多くの広告は相乗効果を狙ってこの時期に合わせて展開されるが、購入意向の高まりは季節性のものであり、広告による押し上げでない可能性がある。

・情報感度の高い人に広告を打つ「メディアバイアス」
 情報感度の高いユーザーにリーチするメディアプランを作り、そこで広告に接触した人と接触しなかった人のブランド認知を比較すると、広告に接触した人が高いスコアを示すことがある。しかし、メディアプランの通りであれば、その広告に接触した人はそもそも情報感度の高く、広告の有無にかかわらず、高いブランド認知度を示す可能性がある。

 オフライン広告に比べ効果検証の精度が高いと思われがちなオンライン広告だが、実はこれらのバイアスはむしろ発生しやすくなってきている。

 例えば、我々グーグルのブランドの中でも、特にNexusやChromecastのようにターゲットが限られている商品の場合、オンライン広告の「誰に」「いつ」メッセージを届けるかというターゲティング技術が非常に重要である。しかし、それは同時に「もともと関心のありそうな人」や「もともと関心が高まる瞬間」をターゲティングすることでもある。

 テレビでオンライン動画を手軽に楽しむことができるChromecastの場合、YouTubeなどエンターテインメントに関心のある人を精緻にターゲティングして広告を配信する。その後、広告接触者と非接触者を比較すると、先述の「メディアバイアス」の影響を強く受けてしまう。スマートフォンの新機種端末の発表時は必ず関連する検索が増えるので、それに合せてNexusの検索連動型広告を配信する。検索は個人レベルで関心が高まるタイミングを捉えることになるので、「季節性バイアス」の影響を受けてしまう。

 テレビ広告の場合、これほど正確にターゲティングすることはできなかったので、結果としてバイアスは小さく抑えることができていた。しかし、皮肉なことに、オンラインはターゲティング精度が向上したため、バイアスがより生まれやすくなっていたのだ。

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