イノベーションにいくら投資するか?
成長ギャップの算出法

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長期的な成長目標を達成するには、イノベーション投資はいくら必要なのか。適切な投資を行うために「成長ギャップ」を算出する方法を説明する。

 

 あなたの会社は、イノベーションへの取り組みにいくら投資すべきだろうか? これは単純な問いのようだが、厳密に答えようとすると、予想外に大きな乖離が明らかになる場合が多い。つまり「現在取り組んでいる成長施策」と「将来の財務目標」との間にギャップがあり、長期的な成長目標を達成できそうにないということだ。

 この、いわゆる「成長ギャップ」を明らかにすることは非常に重要である。なぜなら現状と目標のギャップが大きければ大きいほど、企業は現在の製品やサービス、市場、ビジネスモデルとは異なる、新たな成長機会を模索する必要があるからだ。

 成長のための事業機会が現在の自社の能力とかけ離れていればいるほど、それらを管理する仕組みを築く必要性が高まる(詳しくは、我々のHBR論文「イノベーション体制をたった90日間で構築する」、および2012年刊行の電子書籍Building a Growth Factoryを参照してほしい)。

 成長ギャップを計算するには、次の手順で行う。取り立てて特異な方法ではない。

1.まず、数年後に達成したい成長目標を設定する。(これはどんな数値でもよい。売上高、利益、総株主投資利回り、いずれかの組み合わせなど。本記事では売上高としておく。)

2.その年までに既存事業から見込める売上高を計算する。現在の製品・サービス、およびそれらの改善による売上げの予測を基にする。

3.その年までに現在の新規成長事業から見込める売上高を計算する。

4.上記の2と3を合算して、1の成長目標と比較する。

5.この差が、成長ギャップである。

 ただし実際には、各ステップには心理的な罠や組織の複雑な事情がつきまとうため、暗黙の前提条件を無視した数学の演習問題のようにはいかない。以下に、より詳しく説明しよう。

1.成長目標を設定する
 まず、目標を何年後にするべきか。現実的な目標として経営陣の間で合意に達するためには、今後の展望を安心して議論できる程度に遠い将来が望ましい。ただしあまりに遠い先だと、技術進歩や市場の先行きが不透明すぎて議論が無意味になってしまう。メディアのように比較的動きが激しい業界であれば、3年から5年後が適当だろう。航空機やジェットエンジンであれば20年後が妥当かもしれない。

 売上高の目標値を設定するには2つの方法がある。1つは、自社の株価に織り込まれた成長への期待値を算出し、それに見合うように目標を設定する(株価の維持を望む場合)、もしくはそれを上回るように設定する(株価の上昇を望む場合)。また、もし自社の成功と株価を切り離して考えるならば、単に覚えやすい数字――たとえば「5年後に売上高を倍増させる」など――を掲げてもよい。

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