再起力が問われるのは、
大きな危機より、日々の人間関係だった

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仕事においてレジリエンス(再起力、困難から立ち直る力)を最も強く問われるのは、深刻な危機よりも「人間関係」だった――こんな意外な調査結果をふまえ、再起力に関するHBR歴代論文を振り返る。

 

 2人のイギリス人コンサルタントが、小規模だが興味深い調査を実施した。これはビジネスで成功するための「再起力」(レジリエンス)の重要性を裏づけるものだ。再起力は、挫折から立ち直る力、変化に順応する力、苦難にくじけないで前進し続ける力、と定義されることが多い。

 ところが――。サラ・ボンドとジリアン・シャピロはイギリスの公営・民間・非営利を含む組織の従業員835名を対象としたアンケート調査で、「生活のなかで再起力が必要となった出来事は何か」と尋ねた。すると回答は、2005年のロンドン同時爆破事件のような惨事ではなく、仕事でのひどい失敗でもなかった。容赦なく進む変化についていく大変さ、あるいはいまだ厳しい経済状況がもたらす諸問題でもない。彼らが指摘したのは、職場の同僚だったのである。

 回答者の実に75%が、再起力を最大限に費やさねばならない対象として「職場での面倒な人間関係や社内政治」と答えた。僅差で続いたのは「過労によるストレス」、その次は「個人的な批判に耐えること」だった(英語報告書)。

 HBRの寄稿者たちは長年にわたり、大小の挫折から立ち直る方法について実に多様なアドバイスを提供してきた。たとえばデイビッド・ナドラーは「CEO交代のマネジメント」で、新任CEOが会社の目前の危機を救った直後に「第二幕」でつまずきやすい現象について述べている。

 同論文が言及している優れた研究(ボリス・グロイスバーグ、アンドリュー・マクリーン、ニティン・ノーリア著「GE出身者でも失敗する時」)によれば、経営人材が新たな職務で成功できる可能性が高いのは、直前の職場での経営環境と酷似している場合だけだという。ナドラーはこの研究に基づいて、新任の経営幹部が第二幕で成功するために踏むべき4つのステップを提案している。①長年磨き上げてきたリーダーシップ・スタイルはもはや通用しないと認める。②失敗の原因は自分にあり、外部要因ではないことを受け入れる。③新たに必要となるスキルを分析し理解する。④新たなモードに切り替えて断固たる行動を取る(後継者の使命など)。

 これとは対照的に、ジェフリー・ゾネンフェルドとアンドリュー・ウォードが「失脚から復活する法」のなかで提案するのは、もっと攻撃的で自己本位的な方法だ。解任された300人のCEOへのインタビューをもとに、キャリア上の悲劇を克服し過去と同等かそれ以上の地位をつかむための5つの方法を挙げている。①どのように反撃するかを決める。②精神的に支えてくれる人、転職の手助けをしてくれる人を募る。③自分を見放した人々への批判を躊躇しない。④みずからを勇気づけ再起への覚悟を固める。⑤情熱を取り戻し人生に意義をもたらすための、新たな使命を見出す。

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