メガトレンドを経営に取り込む4つのポイント

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デュポン、シーメンス、ボッシュといったグローバル企業がリーディング・カンパニーとしての地位を確立した最大の理由は、メガトレンドを読み、得た知見を経営の基部としていることである。グローバル企業の基本的な動作を観察すると、その要諦は4つある。

グローバル企業の「動作」から学ぶ

 前回説明したように、メガトレンドを正しく経営に活かすことができれば、企業の持続可能性と事業の収益性を高めることができる。このメガトレンドを日本企業が真に経営の基部とするために、グローバル企業の動作から何を学ぶべきか。そのポイントは4つある。

メガトレンドを読み解くスペシャリスト集団の組成
メガトレンドへの多様な知の取り込み
メガトレンドに対する全社の共通理解
メガトレンドの企業行動への落とし込み

 体制を組み、磨き上げ、全社に伝え、実行する。当たり前と思われるかもしれないが、これらを徹底的に経営に落とし込んでいる日本企業は多くはない。当たり前のことを当たり前にやり切ることが、グローバル経営の真髄である。では、グローバル企業は、いったいどのようにしてこれらを成し遂げているのだろうか。日本企業の現在地に照らしながら見ていきたい。

スペシャリスト集団を組成する

 メガトレンドを経営の基部に据えるグローバル企業の中には、世界中からスペシャリストを集めたメガトレンドを読み解く専門チームを持つところがある。予測が長期になればなるほど、少しの変化が将来像を大きく変える。精鋭集団が絶えず変化を察知しているからこそ、鮮度と有効性が保たれるのである。また大きな変革期を見据え、プロジェクトチームを組成しメガトレンドに取り組む企業もあるが、継続性を担保する努力は怠らない。

 このようなチームの多くは本社に組成され、時に中央研究所や“Lab(ラボ)”のような研究機関に配置されるが、これぞ「コーポレートファンクション」、本社の担うべき役割といえよう。

 このスペシャリスト集団には、アナリストやアカデミシャン、ソーシャルセクターなどからメンバーを迎えることも重要だ。シナリオプランニングを重視するシェルでは、シナリオの責任者を置いた上で、エコノミスト、政治アナリスト、石油アナリスト、スピーチライターなどさまざまな分野の専門家を自社で抱えている。

 もちろん、もう少し自社に近い技術的なトレンドでは技術に詳しい研究開発部門のメンバーを、マーケットのトレンドでは顧客のニーズを知るメンバーを入れることもあり、観点とレベルによって集めるメンバーも異なる。自社が捉えるべきメガトレンドは何か、事業の領域やライフサイクルの長短などの特性を考慮して定義した上で、適切なスペシャリスト集団を組成することが必要である。

 日本企業では、中期経営計画などイベントドリブンで、必ずしも長期の経営環境に精通しているとはいえない経営企画部門や事業部門が、手当たり次第に、バラバラと、マクロ情報をかき集めていることが多い。それでもまったく見ないよりはよいのかもしれないが、グローバル企業と差が開く要因の1つに、体制への本気度があると考える。

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