生活者はどうやって検索しているのか?
商品を選ぶ「兆し」をつかむ

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スマホ以前とスマホ以後、生活者とブランドの出会いはどう変わったか。何かちょっと気になった時にすぐ調べられる、その検索行動は、実際の購買にどのような影響をもたらしているのか? それは商品カテゴリーで差が出てくるものなのか? グーグルのマーケティングチームの好評連載、第4回。

 

 あなたが何気なく使っている歯磨き粉は、日本国内に今、何種類くらい流通しているかご存知だろうか?

 大型スーパーマーケットに行くと、その種類の多さに驚くかもしれない。ドラッグストアでは、スーパーマーケットとは異なる種類のブランドが数多く並び、さらにインターネット上では、見たこともないようなブランドが数多く売られていることにも驚かされるだろう。このような状況は、歯磨き粉に限らず、ビールなどアルコール類、清涼飲料水、ヘアケア製品、洗剤など、いわゆる消費材といわれるカテゴリーでは特に見受けられる。

 そんななか、生活者はいったいどのようにして、購入ブランドを選択しているのだろうか? 今回は、生活者の視点で、この点について考えてみたい。ちなみに今日本で販売されている歯磨き粉の数は、POSデータで把握できるもので954種類(注1)となっている。

生活者がブランドと出会う時――「真実の瞬間」

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写真右:小林 伸一郎(こばやし・しんいちろう)
グーグル株式会社マーケットインサイトチーム 統括部長。慶應義塾大学を卒業後、電機メーカーにエンジニアとして入社。後に広告会社に転じ、メディアのデジタル化に伴う広告ビジネスの変化についての研究、及び、メディアプランニングのためのツール開発に従事。2011年グーグル株式会社に入社し、クロスメディア環境における広告効果測定のための手法を開発。日本及び、アジア太平洋地域に展開するグローバル企業に対して同手法を展開。

写真左:佐藤 祐之(さとう・よしゆき)
ウェブテクノロジーによる広告領域の発展を目標に、企画・投資効果可視化・メディア開発等に携わるグーグル広告部門のマーケティング担当。大学では会計学を専攻しつつ、ウェブコンサル事業に参画し、ネット領域を学ぶ。その後、広告会社に所属し、主に日本国内の日用品マーケティング業務を経て、バンコクにてアセアン域のマーケティング業務に従事。2010年グーグル入社。

 生活者がある特定のブランドを積極的に支持し始めるきっかけとなる「真実の瞬間」という言葉を聞いたことがあるだろうか。簡単に言えば、個々の生活者が様々な場面で、ブランドを見た、体験した時に、「これを選んでよかった!」「私にはこれがピッタリ合っていた!」、もしくは、「これは、ちょっと違うかも」「これはもう買わないかも」と思う瞬間である。

 生活者の日常に存在するその「真実の瞬間」の中でも、2005年頃から、購入ブランドを決定するにあたっては、「店頭」におけるブランド体験をとても重視する傾向があると言われるようになった。つまり、店頭で「真実の瞬間」を起こせれば、たくさんの商品が並ぶ棚から自ブランドを選択してもらえる確率が高まるということである。

 この考えに強く共感を覚えたある消費材メーカーは、これこそが消費材にとっての「最初の真実の瞬間(First Moment of Truth)」であると捉え、徹底した店頭でのブランド体験を提供するようになった。

 さらに現在では、ウェブ上における個人間やコミュニティ内での情報や会話から、店頭ではあまり見かけない、しかしどうやら最近流行っているブランドやサービスが存在することが分かるようになる。すると、生活者は、「自分が利用するべきブランドは何なのか?」、あるいは、「今使っているブランドが本当に私にとって最適なものなのか?」を、店頭に訪れる前に確認したい欲求が生まれてくる。

 もちろん、過去からこのような欲求は存在していたのかもしれない。しかし、あえて事前に確認するという行動を取る人は少なかった。知りたいと思った瞬間に調べられる手だてがあまりなかったからだ。だが、この「知りたいと思う」は日常の様々なシーンに存在している。

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