事業環境の変化は
3つの視点から捉えられる

デルとスタバのケースで学ぶビジネスモデル・マネジメント【最終回】

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ビジネスモデルを刷新する際には、事業環境の変化をいかに捉えるかがカギとなる。最終回では変化の予兆を読み解くヒントを提示する。企業の体力があるうちに、将来を支えるビジネスモデルをいかに構築するのか、考える際の指針となる。

避けて通れないビジネスモデル・ポートフォリオ・マネジメント

 本連載では、「強い」ビジネスモデルとは何か?から始まり、ビジネスモデル・マネジメントにおける重要な論点、そして、ビジネスモデルの限界に対して取りうる打ち手について論じてきた。限界に対する打ち手においては、ビジネスモデルのポートフォリオ・マネジメントの必要性についても触れた。

 一つの企業体の中で、異なるビジネスモデルを内包することの難しさは十分理解してはいるつもりではあるが、多くの製造業では、製品で儲けるからソリューションで儲けるといった異なるビジネスモデルが生まれつつあるし、パナソニックやソニーを見ても、B2Cエレクトロニクス以外の車載や住設、金融などの異なるビジネスモデルによって企業再生が進みつつある。ビジネスモデル・ポートフォリオ・マネジメントの課題は、企業の持続的な成長を考えるうえでは、どうしても避けて通れない課題であるとも言えるだろう。

 理想を言えば、企業体力があるうちに、そして、現在のビジネスモデルが強いうちに、将来を支えるビジネスモデルの種を仕込むべきである。あるいは事業環境が大きく変化する前になんらかの手を打つべきである。そのためには、変化の予兆を捉えなければならない。本稿では、そのためのヒントをいくつか提示する。

変化の予兆を読み解くヒント

①業界における固定費の増大

 業界あるいは企業における固定費、とりわけ製品開発コストが増大し始めると、業界特質の相転移が起こる可能性が高まってきていると言える(注1)。

 たとえば、大きな開発負担を必要とするために大手しか生き残れなくなり、業界の合従連衡が進み競争環境が変わる可能性もある。あるいは、コスト増大に直面し、これまでとは質の異なる競争環境に変質する可能性もある。顕著な例は半導体業界などで見られた動きである。個々にカスタムメイドの製品を作ることの経済合理性が成り立たなくなると、標準化が大きく進み、「技術の競争」が「投資の競争」へ変質したり、あるいは、業界の構造が「タテ(垂直統合)」から「ヨコ(水平分業)」になり、デファクト・スタンダード(事実上の標準)を握った企業が覇権を握る事態が生まれることになった。そして、ハードからソフトへのシフトもおこった。当然ソフトのほうが修正費用やアップグレード費用もハードに比べて安い。標準化の流れの中にあって、ハードは標準で、ソフトでカスタムメイドでというようなハイブリッド型も生まれてきたのである。

 このように、業界の固定費が増大し、業界の資産効率、業務効率が悪化することは、大きな変化の予兆になると考えられる。

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