Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

IoTの源流:巨大企業GEはいかに
インダストリアル・インターネットを立ち上げたか

2

 次なる問題は、どこを拠点にするかだ。昨今はテクノロジーのおかげで組織のバーチャル化もかなり可能になっているが、ルーは人々が一緒に顔を合わせて働ける物理的な建物にこだわった。また、シリコンバレーのスタートアップ文化、ソフトウェア文化を取り込むことも重要だった。そこで、東海岸に本社を構える工業企業としては画期的な決断が下され、シリコンバレーに近くて規模拡張の余地もあるサンラモンが選ばれた。2012年に大型オフィスビルの1フロアからスタートし、やがて5つのフロアすべてを占有するほど拡大した。内装は(他のGEのオフィスとは違って)グーグルに似ており、オープンプラン式のレイアウトで床はコンクリート張りの広々としたスペースだ。顧客やパートナー企業とのコラボレーションやイノベーションを促進すべく、デザインスタジオも設けられた。

 次の検討事項は、どんな人材を採用するかだ。チーフ・データサイエンティストのマシュー・デネサックはこう語ってくれた。「どんな人材を採用するかは、戦略で決まります。我々の目的は、クラウドベースの技術プラットフォームを開発して、データの整理、高価値を創出するアナリティクス、モデリング・コンテンツを提供できるようにすることでした。ですからソフトウェア・エンジニアリング、ユーザーエクスペリエンス、データサイエンスに強い人材を採用しました。それ以外のスキル、たとえばシステム統合や変革マネジメントについては、直接雇用ではなくパートナー企業を活用することにしたのです」

●規模拡大に向け、採用を加速
 最大の課題は、いかに早く規模を拡大するかだった。ユーザーエクスペリエンス担当プロダクトマネジャーのメロディ・アイボリーはこう語る。「2012年2月、私は30人目の社員として採用されました。その6月には100人近くに増え、同じ年の暮れには500人に達しました。需要が激増していたのです。巨大企業のサービス組織である我々には、既存顧客がいましたからね。需要に応えられるだけの人手が足りず、人材の拡充も追いつきませんでした。我々は社内スタートアップなので、スタートアップらしく動きました。優秀な人材を引き抜き、案件にハンズオンで取り組み、1人何役もこなす。おかげで思っていたよりも短期間で拡大しましたが、あらゆる事業の需要に応えられるまでには至っていません」

 中心となって採用の課題に取り組んだのは、GEソフトウェアセンターのグローバル・ヒューマン・リソース部門を率いるジェニファー・ウォルドーだ。彼女は当時の苦労をこう振り返った。「当時のGEはソフトウェアの分野ではブランド認知がなく、採用した人材の9割方が、GEにソフトウェア部門があるのを知りませんでした。さらに、ソフトウェア業界の人材争奪戦は、それはもう熾烈でした。ユーザーエクスペリエンスの専門家やデータサイエンティスト1人当たり3社が誘いをかけていたのです。我々はシリコンバレーのクールなテクノロジー企業と競いながら、GEの文化に合う人材を見つける必要がありました」

 大胆な増員目標を達成するには(2013年末までに750人、2014年末までに1000人)、ウォルドーはGEのルールを一部変更せざるをえなかった。「ソフトウェア業界から、テクノロジーに精通した人間を雇って採用リーダーに据えました。そして、どこに候補者がいて、どうすれば彼らの興味を引けるかをわかっている人々をリクルーターとして雇い、採用活動を“インソーシング”したのです。我々は受け身の候補者に注目しました。つまりGEに強い興味を示していなくても、GEとの相性が非常に良いと思われる人です。報酬についても、テクノロジー業界で十分に競争力のあるものにする必要がありました」

Special Topics PR
Business Model 関連記事
最新号のご案内
定期購読キャンペーン
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS