オフィスのない会社が教える仕事の未来
――書評『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する新連載。第4回目は、マイクロソフトの元マネジャーで現在は経営コンサルタント、文筆業に携わるスコット・バークンの『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』を取り上げる。

 

リモートオフィスの実体験を綴る

 IT技術や通信環境の発達は目覚ましく、在宅勤務やノマドワーカーなど、さまざまな働き方が可能になってきている。とはいえ、ほとんどの企業は本社や支社などの拠点を設け、そこで従業員が集まって仕事をする。しかし、本書『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』の舞台となっているオートマティック社はそうではない。皆が集まるオフィスは存在しない。本社はサンフランシスコとなっているが、そこにいわゆるオフィスはなく、社員は地球上の思い思いの場所を仕事場にしている。パソコン1台あれば仕事が可能な時代ではあるけれど、オートマティックはそうしたリモートオフィスを実践している企業なのだ。

 オートマティックは、最先端のブログ・サービスであるワードプレス・ドットコムの運営会社で、マット・マレンウェッグが2005年に設立した。会社創設時には社員全員が創設者兼CEOのマレンウェッグにリポートするという完全なフラットな組織であったが、さすがに社内の混乱が目に余るようになり、2010年に50人の社員を10チームに分け、リーダーを置いた。この会社史上初めての階層化(会社にとっては大変革)に一役買っていたのが、本書の著者であるスコット・バークンである。オートマティックへのコンサルティングでチーム制への移行を提案したのが彼だったのだ。こうした経緯からマレンウェッグに頼まれ、チームのリーダーとして入社することになる。2010年8月のことだ。本書は、マイクロソフトではプロジェクト・リーダーも務めた著者が、従来の企業とはまったく異なる文化を持つオートマティックで働いた約2年間の体験を綴ったものである。 

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