最高イノベーション責任者が、
最初の100日でやるべき5つのこと

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イノベーションを担う幹部がやるべき仕事の優先順位と要諦を、「最初の100日間、5つの仕事」としてわかりやすく示す。

 

 大変喜ばしい。精力的な働きぶり、そして大きなプロジェクトを成功させた実績により、あなたは「最高イノベーション責任者」という素晴らしいポジションについた。あなたへの期待は大きいが、社内には懐疑的な人たちもいる。「イノベーション」とは派手に喧伝されているバズワードにすぎず、独立した機能部門とするなんておかしいと考えているのだ。では、仕事を軌道に乗せるために、着任後最初の100日間で何をすべきだろうか。

 過去10年にわたり、我々はこうしたリーダーたちの最初の100日間の活動を支援してきた。その経験に加え、仕事を通じて接してきた経験豊富な実践者たちへの詳細なインタビューを基に、イノベーションのリーダーが最初の100日間でやるべき5つのことを示したい。

1.経営陣の1人ひとりとじっくり話し合う
 これは当たり前と思うかもしれないが、CEOや事業部門長をはじめ主要幹部たちと関係を築いて自社の戦略を理解することは、決定的に重要である。イノベーションの方向性とプロジェクトを、全社の目標に合わせるためだ。LGエレクトロニクス、シンガポール・テレコム、TEコネクティビティなどで戦略とイノベーションを主導してきたブラッド・ガンビルによれば、最初の100日間は「馬鹿げた質問をして、その事業の基礎をマスターする」ためのよい期間だという。特に「内部の人にとっては当たり前でも、部外者にとっては明白ではない事柄」に焦点を当てるよう勧めている。したがって、意思決定会議がどうしてその方法で行われているのか尋ねたり、戦略やプロジェクトの遂行方法に疑問を呈したりすることを恐れないでほしい。

 特に重要なのは、次の2点に関する幹部たちの考えを理解することだ。①自社が成長目標を追求するうえで、イノベーションはどんな役割を果たすのか、②イノベーションを主導するあなたの役割は何か、である。既存事業に磨きをかけ拡大することが求められているのか。それとも自社の業態や属する業界を再定義することが役割なのか。経営陣があなたに期待しているのは、新たな成長事業を生み出し育てていくことだろうか。それとも既存のプロジェクトチームを指導することなのか。あるいは新しいアイデアが社内からどんどん生まれてくるような、イノベーションの文化を築くことだろうか。

 経営トップらと話し合うにつれ、自分のイノベーションの仕事と既存事業との関係がわかってくるはずだ。幹部たちは、イノベーションを推進するために自部門の人員や予算を手放すつもりはあるだろうか。社内や社外からメンバーを集めて、新しいイノベーションチームをつくってよいのだろうか。それとも専用のリソースが与えられず、無から有を生むような働きが期待されているのか。自社の人員や組織の構成、業務プロセス、ロードマップを大きく変えるような提案をしたら、幹部たちは支持してくれるだろうか。それとも、目立たないように変えていくべきなのか。

2.イノベーションの最大の障壁を特定する
 前述の質問を経営陣に尋ねても、答えは人によってさまざまだろう。幹部たちの意見が一致しない部分こそ、イノベーションの主導者にとって最も喫緊の(そして多くの場合、最も根本的な)課題であり、チャンスでもある。

 したがって最初の100日間のできるだけ早いうちに、社内で断絶が見られる部分を把握する必要がある。特に注視すべきは、目立たないが自社の戦略を真に決定づけている3つの要素である。①どのプロジェクトに資金と人員がどう配分されているか、②業績はどう測定され、報酬と結びつくのか、そして③会社全体で予算はどこにどう配分されているのか。会社の予算配分や報酬の実態が、経営陣の言う優先事項と一致していない部分を探ろう。それがわかれば、長期計画を達成するうえでの最大の障壁、そして短期的な回避策が必要となるものを特定できる。

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