対談4:経営者はクリエイターの提案から
何がひらめいたのか

中野里陽平(築地玉寿司4代目)×小杉幸一(博報堂 クリエイティブデザイン局)

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クリエイターと経営者の対談実験。クリエイターの提案を聞いた経営者は、何かを感じたように、咳を切って話し出した。経営者は何を感じたか。

 

経営者、ロゴの話しからスターバックスを語る

小杉:前回お見せした資料を作っている時に考えていたんですが、中野里さんはご自身の経営に対して自信がある方だと思いました。もちろん結果も出されています。だから、今から土台を固めましょうということではなくて、固まっている土台をメッセージとして強化したり、ロゴとして定着させた方が、従業員の方にも分かりやすくなると思いました。

小杉 幸一
(こすぎ・こういち)

SUZUKI「HUSTLER」、資生堂「50 selfies of Lady Gaga」、KIRIN「一番搾り 」、PARCO「パルコアラ」、ZUCCa、特別展「ガウディ×井上雄彦」アートディレクション、Gaba、東京国際映画祭2013年アートディレクション、本屋「B&B」などがある。東京ADC賞、JAGDA新人賞、NYADC賞、カンヌ国際広告祭<DESIGN部門>GOLD、ACC賞、ADFEST グランプリ、JRポスターグランプリ最優秀賞、ギャラクシー賞、インタラクティブデザインアワード、Spikes Asiaなど国内外数多く受賞。

 それに加えて、手巻き寿司なのか、玉ちゃんなのか分かりませんが、6とか7になり得るポイントを多少強引にでもロゴマークに入れ込んだ方が、スピード感が出るな、と思ったんですね。

中野里:なるほど。僕はね、ロゴマークってそもそも何なのかと思うんですよね。外食企業の中には、毎回違うロゴを使っているチェーン店もあれば、スターバックスみたいに、1つのロゴに色々な思いを込めていて、ロゴを見るとちょっと入りたくなるような、そこまで昇華するのはすごいなって思う。

 多分、玉寿司はどっち付かずになっているんです。

 ただ、僕が到達したいのは、借金してでも全店代えても良いと思えるような、立地ごとにいちいち考えなくても良い江戸前寿司専門店のフォーマットを確立したいな。スタバはもしかしたらそこに行き着いているのかなと。

小杉:統一しすぎているとい言われるくらいですね。

中野里:そうですよね。出雲大社の前にもあのロゴがあったし、祇園からちょっと外れた所にもあるんだけど、べつにその場所に合わせているわけではないのに、どこにあっても洗練された感じがするのがすごい。

 大げさに言えば、北半球で働く、我々ぐらいの世代の人間達の感性にはモダンでカッコ良くて、そこで働くことですらカッコ良いと思われているわけですよね。玉寿司のお店やロゴのあり方を考えるには、そこまで行き着いたものをやりたい。

小杉:どこかで思い切らないとたどり着けないレベルですよね。

中野里:アメリカで初めてスターバックスに行った時、なんでこんなにふかふかなソファがあるんだろうとか、なんで暖炉があるんだろうとか、不思議だけど強烈なインパクトがあったんです。「うちはコーヒーを売っているんではない。感動を売っているんだ」とか、サードプレイスという言葉を後から知って、なるほどそういうことかと思いました。

 僕は、寿司屋として色々と考えてきたけど、一皮突き抜けて次のステージに行くには、「そもそもあなた達は何業なんですか」という問い直しからしなきゃいけない所に来ているんですね。

 寿司業としてはある程度できてきているかもしれないけど、「あなた達は寿司を通じて何がしたいの」と言われた時に、(沈黙7秒)今出せる精一杯の答えは「海の幸を通じてお客様の幸せを提供する」ということぐらいしか言えないかな。

 でもこれって、「どこのお寿司屋さんのコンセプトでしょう?」って聞かれた時に、玉寿司かどうか分からないよね。そこに僕の壁があるというか、オール4である現状があるわけです。

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