もともと情報という商品には、
無償で流通しやすい特性がある。

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紙メディアから電子メディアへの転換期に差し掛かるメディア業界。その本質は紙媒体の売買でなく、情報の売買である。では商品として見た場合、情報とは何か。供給側の視点でその特性を明らかにする。

 

人は自分の情報を多くの人に伝えたい?

 いま紙メディア業界が変わろうとしています。より厳密に言うと、従来のままのビジネスモデルが通用しなくなる日が遠からず来る、という現実を前にした取り組みがさまざまな形で進行しつつあります。

 紙媒体の仕事をしていると普段は見落としがちですが、情報を届けるツールが紙から電子に変わるいま、あらためて商品としての情報の特質を意識せざるを得ません。つまり新聞や雑誌は紙を売っているのではなく、商品は情報なのです。そこで、情報の特質として2つあります。

①情報は基本的に複製コストがゼロである。
 情報とは本来、一度できあがれば複製コストがかかりません。言い換えると、自分の持つ情報を他人にあげても、自分の情報は減りません。つまり人に情報をあげても自分が損をすることがありません。

②情報は流布しやすい。
 情報の非対称性が利益をもたらす場合を除き、人間には自らつくった情報はできるだけ多くの人に渡したいという欲求があるのではないでしょうか。自分で歌をつくった人は多くの人に聞いてもらいたいし、自分の意見は多くの人に知ってもらいたい。自分にとって価値があると感じた情報ほど、人に渡したくなるのではないか。情報提供の対価を経済的なものに求めず、感謝や賞賛、承認欲求などに求めることは人として自然です。

 この複製コストがゼロと流布しやすさの2つから何が起こるか。それは市場取引に向かないということです。情報毎に異なる市場価値がつくのは当然ですが、そもそもすべての情報が交換という手段を経ずして、無償でもいきわたりやすいのです。

 わかりやすい例は、世の中には聞きたい人より話したい人の方が多い、という現実です。人は頼んでもいないのに、自分の話しをしてくれるものです。異業種交流会などでも「情報を集めに来ました」と言いながら、聞くことよりも話すことに熱心な人は珍しくありません。ツイッターを見ていても電車の遅延情報などを発信する人が多い。そもそも表現の欲求とは人間の根本的な欲求の一つではないかと思われます。紙メディアの編集の仕事をしていると、多くの書き手になりたい方にお会いするので、世の中、本や雑誌を読みたい人より書きたい人の方が多いのではないかとさえ思うことがあります。

 では、無償で流通してもおかしくない人間の世界で、これまで新聞や雑誌、書籍と言った紙メディアが成立していた理由はなんでしょうか。

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