人材は「雇う」より「束ねる」ことが重要となる

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フリーランスのワーカーと仕事をつなぐ「人材プラットフォーム」が、新たな業務形態として台頭し始めている。その優位性は今後、競争の原理を変えていくかもしれない。

 

 あなたの会社にとって、競争上の脅威となりつつある相手は誰だろうか。進化を続ける大手企業、突然現れた新興企業、あるいは違う業界から攻めてくる企業かもしれない。しかし従来の組織とはまるで違う、従業員を実質的に持たない「人材プラットフォーム」が競争相手になるとしたらどうだろう。

 メカニカルターク(Amazon Mechanical Turk)、イーランス(eLance)、トップコーダー(Topcoder)やトンガル(Tongal)は、特定の組織に雇用されないフリーエージェントたちをまとめ上げ、クライアントに業務達成の新しい手段を提供する人材プラットフォームだ。このようなモデルは目立つことなく現れる。最初は何の変哲もないパートタイマー向けの求人掲示板のように見えるが、やがてそれをはるかに超える存在へと変わる。彼らは今や、既存企業にとって大きな脅威となりつつある。

 広告におけるトンガルの役割を見てみよう。通常の広告代理店と異なり、同社はクリエーターを社員として雇っていない。その代わり、自社の人材プラットフォームが広告主とフリーエージェントのクリエーターとをつなぐ。既存の代理店は、ネスレやレノボ、フォードといった有力企業の発注を自社が太刀打ちできないほど低価格で請け負うトンガルを見れば、笑ってはいられない。

 人件費が不要の仲介によるコスト削減は、特長の一部でしかない。トンガルのプラットフォームは広告案件と請負可能な人をつなぐだけでなく、仕事が秩序よく行われる仕組みを提供している。具体的には、広告の企画と映像のアイデアをクラウドソーシングで募集し、コンテスト形式で受注者を決めるという方法だ。希望者は企画書を140文字以内で提出し、上位に選ばれたわずか数人に報酬が支払われる。その後、勝ち残った企画を元に映像制作者がアイデアを売り込み、同じく上位数人が報酬を得る。最終的には1つのアイデアに絞られ、広告制作がスタートする(広告主が勝者を選び、費用を支払う)。こうした工程の裏側で、トンガルは広告主の要求が当初の予定を超えて過剰にならないよう調整し、クリエーターを守る。そして広告主がクリエーターの能力と信頼性をチェックできるようにサポートする。

 大手企業にも注目されているトンガルは、アンハイザー・ブッシュ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、レゴなどの広告を定期的に手掛けている。これらの企業がトンガルを支持するのは低価格だからというだけではない。世界中から人材を起用できる同社のプロセスと能力に引きつけられているのだ。

 もちろん通常の広告代理店にも有利な点はある。単発で仕事を請け負うフリーエージェントとは違い、クライアントと継続的な関係を築いてそのブランドについて時間をかけて学べる。そして自社で実績のある社員、および付き合いのある少数のフリーエージェントに頼っていればよい。しかしそれらの強みは、トンガルのような人材プラットフォームの脅威に十分に対抗しうるものだろうか。トンガルのコミュニティにおける献身的な一部の人々が、クライアントと継続的な関係を築き、時間をかけてブランドを理解していくこともありうるのではないだろうか。

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