もはや競争相手は同業者ではない
――書評『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する新連載。第1回は、BCG元日本支社長で現在早稲田ビジネススクール教授、内田和成氏の新刊『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』を取り上げる。

 

ゲームを変える戦略を4つに分類

 かつて競合といえば同業他社のことを指していたが、この様相がさま変わりしている。航空会社の競合は、鉄道会社であるばかりか、出張するビジネスパーソンをテレビ会議システムの企業と奪い合うような様相を呈している。業種を超えたメガ競争の時代に突入したのだ。この現象を早稲田ビジネススクールの内田和成教授は、2009年に『異業種競争戦略』という書籍で体系化した。その内田氏が異業種競争における勝者の法則をまとめたのが、本書『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』である。

 本書では異業種から攻撃をしかけてくるプレーヤーの戦略を、2×2の4象限のマトリクスで分析している。軸は、儲けの仕組みが新しいか否かと、製品やサービスが新しいか否かである。

 そして、この4つのプレーヤーを①秩序破壊型(新しい儲け・既存の製品やサービス型)、②市場創造型(既存の儲け・新しい製品やサービス型)、③ビジネス創造型(新しい儲け・新しい製品やサービス型)、④プロセス革新型(既存の儲け・既存の製品やサービス型)と命名している。

 この2軸による分類から多くの洞察を得られる。たとえば、画期的なビジネスモデルで言われるアマゾンは、この分類では④プロセス革新型となる。確かに「書籍を売る」書店をネットに置き換えたアマゾンのモデルは、商品も儲けの仕組みも変えたわけでなく、デリバリーの仕方を変えたに過ぎない。

 一方で、タイムズ24のカーシェアリングは、自動車を「無人駐車場でクルマを貸し出す」という新しいサービスを提供し、かつ「15分単位の使用時間」という新しい儲けの仕組みを構築したことから③のビジネス創造型に分類されている。そして全国に点在する無人駐車場事業が、「クルマの置き場」という資産として同社が保有していたことが事業の強みだと分析している。

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