緑と青を動きの中で比較する

ゲームモデルで読み解く組織行動〈1〉

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前々回前回の2回にわたり、日系的な緑色人材と外資系的な青色人材の差異を踏まえ、日本企業のグローバル組織への変革について述べた。組織変革の中核は、人々の行動変革である。それには、人々の行動を変えるための「手引き」が必要だ。そこで今回は、特に集団における人々の行動、すなわち組織行動について考えてみたい。

まだらを動的に捉える「ゲーム」の発想

 今回、組織行動について考察するにあたって、基本的なゲーム理論の枠組みを用いて、企業における人々の行動をゲームとして捉えてみたい。なぜ、ゲームという視点を採り入れるのか――その説明から始めよう。

 本連載のキーワードは、日系と外資系の経営方式が混ざる「まだら模様」である。これは、日本企業・日本人と異質の他者である外資系企業・外国人とが簡単には一つになれないことを象徴する。異質の他者との出会いで、日本企業・日本人はある種のショックを伴う気づきを得ているはずだ。同じ人間が、同じビジネスをやっているのだが、言葉が違うことにとどまらず、やり方がこんなに違う、ということへの驚きと気づきである。

 そして、「違い」に気づくことから「比較」が始まる。筆者も、本連載を通じてこの比較を様々な角度から行っているが、そういう比較を試行する中で、緑と青の「違い」は、両者の行動を規定する「設計図」の違いだという見立てを行った。設計図がどのように違うかに気づけば、緑にとっても、青がどのようなメカニズムで動いているかがわかる。同時に、他者である青が設計図で動いていることを見ることで、緑の側に、自分たちも実は「設計図」で動いているという自己への気づきも生じるだろう。設計図を介して他者(青)への理解と自己(緑)への理解が共に深まることで、相互理解のきっかけとなり、両者のインタアクションを改善することも期待できよう。さらに、設計図を書き換えることで、お互いが良いところを取り入れて変化するという道も開けるだろう。

 ただ、設計図の比較はいわば静止画像的な比較にとどまる。今回は、異質の他者との違いを「動き」の中で捉えることで、よりダイナミックな比較に駒を進める。端的にいえば、緑に属する人々(プレーヤー)と青の人々が異なる「ゲーム」を行っていると見立てて、両ゲームの「違い」を見にいく。そのようなゲームとしての比較を通じて、相互理解を深めるとともに、ゲームを変えるような変革への道も開けるだろう。

 それでは実際に、組織行動の特徴をゲーム理論で読み解くときに用いられるフレームワーク「4ボックス・ゲーム・モデル」を使って、従業員の思考と行動が、日系的な組織(緑)と外資的な組織(青)でどのように違うかについて考えてみたい。

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