「他社の成長を助ける」行為が
ビジネスモデルになる時

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「他社の成長を助けることで、自社も成長する」というビジネス手法がある。本記事の筆者はこれをジェネラティブ(generative:生成的)な事業と呼ぶ。その要諦は、知識の惜しみない共有、互恵的なエコシステムの構築、経済的価値と社会的価値の両立だ。まさにCSVの核となるべきものである。

 

 ユーザー数140万人、年間売上高400万ドルを誇るソーシャルメディアサービスのバッファー(Buffer)は、便利な製品と優れた顧客サービスを提供することで成長してきた。しかしその真の強さと成長力は、より根本的なものに支えられている。すなわち、「生成的(generative)」であろうとする信念だ。

 バッファーは、企業のソーシャルメディア活動の管理や分析をサポートするツールを開発している。同社のビジネス慣行は透明性を基盤とし、自社のオペレーションや知識、パフォーマンスに関する情報を常に公開している。多くの企業が社外秘にするような情報を積極的に公開することで、他社に新たなビジネスのやり方を促しているのだ。

 ウェブコンテンツのカスタマイズを可能にするキュレーター(Kuratur)のCEOで、シリアル・アントレプレナー(起業を繰り返す起業家)のキルステン・ランバーセンは次のように語る。

「バッファーの透明性は、起業家が渇望する情報を提供している。他社の実態を見れば自社の事業の進展状況を把握できる。それは励みと刺激を与えてくれる、素晴らしいことだ。私自身もバッファーの優れたアイデアを参考にしていくつかの問題を解決し、事業に大胆に取り組む勇気をもらった」

 バッファーやエッツィー(Etsy)、コミュニティ・ソースト・キャピタル(CSC)などは、「生成的」な企業の例である。そのビジネス慣行、外部との関係性、ビジネスモデルは、自社の成長がステークホルダーの成長にもつながるように設計されている。

 生成的な企業には3つの主な特徴がある。

1.その業務プロセスは、当該事業の成長を目指しながらも外部にノウハウを公開するよう意図されている。他の事業者はそれらを基に学習や実験、挑戦ができる。

2.自社とステークホルダーの間、またはステークホルダー同士で相互扶助が行われるエコシステムを築いている。このネットワークで生じるさまざまな交流が、グループ全体に恩恵をもたらす。

3.経済的価値に加え、社会的価値を生み出している。たとえば有益なコミュニティの構築、表現や学習の促進といった、営利を目的としない社会的意義の追求だ。

 以降で、これらの特徴を掘り下げてみよう。

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