「1.5列目」からしたたかに勝つ

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先んずれば人を制す、とよく言われるが、経営において業界のリーダーとなっている企業は、最初から先頭を走ろうとしていたのだろうか。不確実性の高い領域に闇雲に突っ込んでいくのではなく、フォロワーとして、したたかに、より「稼げる」ポジションを獲る生き方があるのではないだろうか。気鋭の経営学者とコンサルタントがそれぞれの視点から議論し、インサイトを導き出す対談の第4回では、長期的な競争優位の確保につながる「賢いフォロワー」のあり方について考える。

したたかに1.5列目に立つ
「賢いフォロワー」

日置 前回の対談の中で、潮目を読んでゲームを作りにいく「正しいフォロワーのあり方」が日本企業を活かすのではないかという話がありました。まあ、「正しい」というよりも「賢い」といったほうが表現としては適当かもしれませんけれども。今回はこのあたりを少し掘り下げていきたいと思います。

入山 章栄
早稲田大学ビジネススクール
准教授

入山 ファーストムーバー(先行者)かフォロワーかという点は経営学でも随分研究されてきましたが、フォロワーにも「賢い」と「賢くない(わるい)」があるというのは斬新で、面白いですね。

日置 論としては、コンサルタントとしてはあるまじきやわらかさですが(笑)。とはいえ、下図のような整理を試みました。狭い領域ならばファーストムーバー(先行者)になれても、大きなビジネスにしていくのは難しい。しかし、市場が大きいとわかった状況で参入すると、自ずとフォロワーになってしまいます。
 そこで賢く儲けるフォロワーもいるのですが、日本企業の多くは、業界横並びで入っていくので、自社にとっては新規事業のつもりでも、コモディティ化している、あるいはしそうな分野に進出して過当競争になり、自らわるいフォロワーに陥っているように見えます。先頭を走るばかりでなく、最先端の動きを見極め、自社のリソースとうまくコーディネートして大きなビジネスに仕立てる「したたかさ」が欲しいところです。

入山 なるほど、現在のアメリカのハイテク業界は、明らかにこの「1.5列目」モデルが主流になっていますよね。IBMもそうですし、CiscoやIntel等も、オープンイノベーションの活用やM&Aを含めて、うまく種を見つけてきています。さらに、CiscoにはM&Aの専門部隊がいて、技術を持つ企業を年に何十件も買収して、管理しているそうです。

日置 インテグレーションする力も大切だと思います。将来の経営環境と自社が重心を置くべき事業領域を見通して常に新たな事業の種を探し、いち早く統合して育てていくところまで一貫してできないと、1.5列目をとることはできません。M&Aをしてもうまく統合できない日本企業を思い浮かべると、Ciscoのように小さな種を買収し、すばやく自社に取り込むケイパビリティもあってこそ、このようなポジションのとり方が成立すると考えています。

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