グローバル市場で戦うために 
いかに「市場の壁」を克服すべきか 

グローバル経営を考える【第2回】

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グローバル市場を開拓するためのフレームワークにゲマワットが提唱したCAGEフレームワークがある。市場を分断する4つの壁とは何か。そしてその4つの壁を打ち破り、いかに商機に繋げるのか。グローバル戦略の考え方を論じていく。

 

ゲマワットの示すCAGEフレームワーク

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平野正雄(ひらの・まさお)
早稲田大学ビジネススクール教授。 スタンフォード大学大学院経済工学修士。工学博士(東京大学。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、カーライルグループ日本共同代表等を歴任。専門はグローバル戦略、ジェネラルマネジメント。

 今回は、実践的なグローバル戦略の考え方を紹介したい。ジャーナリストのトマス・フリードマンがグローバル化の最前線を活写したベストセラー『フラット化する世界』を出版したのが2005年。これに対して「世界はフラットではない」、と主張して、むしろ世界の各地域や市場間にはさまざまな壁(注)だらけであると論じたのが、IESEビジネス・スクールの教授であるパンカジュ・ゲマワットである。

 かたやジャーナリスト、かたや学者のため議論の厳密性は当然異なるが、実際の経営者のマインドはフリードマンの主張に近く、戦略やオペレーションの実態はゲマワットの指摘の通りではないだろうか。では、早速ゲマワットのフレームワークを見てみよう。

 ゲマワットは、市場を分断する壁を4つに分類している。文化(Culture)、制度(Administration)、地理(Geography)、そして経済(Economics)で、その頭文字を合わせてCAGEフレームワークと呼んでいる。

 文化に含まれる要素には、もちろん言語、伝統的生活習慣、支配的宗教の存在、などに加えて、国家間の歴史的関係などが入る。また、制度には一般的な税制や規制・手続き、さまざまな優遇措置、あるいは労働法制や金融制度など、が含まれる。さらには、政治制度の違いや安定性も入るので、非常に広範である。地理的壁には、もちろん物理的な距離に加えて、時差や気候の違い、その他自然環境などが諸要素となる。最後の経済的な壁には、経済規模や成長率、平均所得や所得分布、労働賃金や諸物価、さらには流通システムや交通インフラまで一切合財が含められる。なお、しょせんフレームワークは複雑な事象を構造化して、論理的に戦略を考案するためのツールであるから、細部はいい加減なものだ。重要なのは使いこなす能力である。

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