勃興するグローバル革命に 
なぜ日本企業は乗り遅れたのか 

グローバル経営を考える【第1回】

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早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる人気連載「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。8人目にご登場頂くのはグローバル戦略、企業戦略、M&Aなどがご専門の平野正雄教授だ。グローバル経営をテーマに、全3回でお届けする。第1回では経営のグローバル化とは何を意味するのかを探り、日本企業がグローバル革命に立ち向かう方法を考える。

変わりゆく新興国の位置づけ 

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平野正雄(ひらの・まさお)
早稲田大学ビジネススクール教授。 スタンフォード大学大学院経済工学修士。工学博士(東京大学。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、カーライルグループ日本共同代表等を歴任。専門はグローバル戦略、ジェネラルマネジメント。

 今日のグローバル経済の発展の大きな起点は、1989年のベルリンの壁の崩壊に象徴される戦後冷戦構造の終焉であり、その結果東西に分断された世界経済が連結されたことにある。このインパクトは、当初は大量の廉価な労働力の供給に始まり、やがて生活水準が上がるにつれて強大な消費市場の誕生に連なった。特に2000年代になるとBRICsというキーワードが広く浸透し、この4か国を中心に新興国ブームが生じることになる。

 特に中国の発展は目覚ましく、国全体のGDPは2010年に日本を凌駕して世界第二位になり、また国民一人当たりのGDPも2018年頃には1万ドルを突破する見通だ。現在、一人あたりのGDPが1万ドルを超える国の人口総数は約8億人だが、統計上はそこに新たに12億人の中間層が加わることになる。さらにインドをはじめ、やがてその他の新興国が1万ドルクラブに加わるので、2030年までには40億人以上の巨大な消費市場が誕生することになるのだ。まさに、新興国革命だ。

 企業にとっても、これらの新興国の位置づけは変化している。当初はLCC(ローコストカントリー)とみなし、コスト最適化のための生産拠点にすることが主な目的であった。しかし、今日では新興国のローカルの市場開拓を主眼に置いており、事業成長のドライバーと見なしている。当然、このようにダイナミックに変貌する新興市場の開拓は一筋縄ではいかないものだ。新興市場開拓の課題や有効な戦略については、次回お話することにしたい。

新興国革命と並行して進んだ二つの革命

 さて、ここで注目しなければならないのは、この新興国革命が勃発した20世紀最後の15年という同じ時期に、さらに二つの革命的な経済構造の変化が生じていたことだ。まず、そのひとつが金融革命である。

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