イノベーションを現実に動かした
トムソン・ロイター6つの実験

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情報ソリューションのグローバル企業、トムソン・ロイターはいかに買収路線から脱却し、イノベーションの文化を築こうとしているのか。同社の最高イノベーション責任者が、進行中の6つの取り組みを紹介する。

 

 大企業がイノベーションを実行するのは容易でない。スティーブ・ブランククレイトン・クリステンセンをはじめ多くの識者が指摘するように、企業は一定の規模に達すると、そのリソース(および投資資金)の大半を当然のように既存のビジネスモデルの遂行と保護に充てる。さらに、既存事業で成果を上げるうえで重宝されるスキルは、イノベーションに欠かせない「発見」と「実験」に適したスキルと別物である。結果として、大企業で真のイノベーション文化を育むことは、目標にとどまる場合が多い。

 あなたの会社も同様だろうか。ならば、情報ソリューションで売上高125億ドルを誇るグローバル企業、トムソン・ロイターの事例が参考になるかもしれない。買収による成長戦略は長年奏功してきた反面、イノベーションへの取り組みが弱まるという結果も招いた。マネジャーの多くは自部門の製品・サービス開発にかかりきりで、全社的なイノベーションには取り組んでいなかった。一部のマネジャーはイノベーションと成長を同時に推進する手段として、買収に頼り過ぎていた。

 この状況を打開するために、経営上層部はいくつもの手段を講じた。まず、小規模な買収に充ててきた資金をイノベーションに振り向けることで合意し、2014年初めに「カタリスト・ファンド」を設置した。これは、社内のイノベ―ション・チームがアイデアの有効性を検証するために利用できる資金プールだ。この新たな取り組みを社内ウェブサイトで告知し、どの事業部に属するチームでも応募可とした。

 このファンドを利用する資格を得るには、2ページの簡潔な申込書にチームの新規アイデア、潜在市場、顧客にとっての価値(どのような問題が解決されるのか)を記入して提出する。最も説得力のあるアイデアを提出したチームが、「イノベーション投資委員会」にアイデアをプレゼンし擁護する機会を得る。委員会の主な構成メンバーはCEO、CFOおよび少数の上級幹部だ。開始したその月に5組の「勝者」が選出され、すぐにトムソン・ロイターの社内ウェブサイトで報じられた。関心が一挙に高まり、申込みが着実に集まるようになった。

 他にも多くの手段が講じられた。それらを牽引したのは、イノベーションを優先すべく新たに任命された2人――幹部レベルの後援者、および専任のイノベーション・リーダーだ。彼らが社内外の数十人と協議のすえ展開した取り組みには、以下のようなものがある。

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