サッカーの「ティキ・タカ」スタイルから、
群知能の活用を学べ

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サッカーには「ティキ・タカ」と呼ばれるプレースタイルがある。発祥はスペインで、細かいパス回しによる緊密な連携プレーがその特徴だ。企業は目標達成とチーム・マネジメントについて、このティキ・タカ・スタイルから学べ――そう主張するHBRドイツ版の論考を紹介する。本誌2015年2月号特集「目標達成 結果を出す組織のPDCA」関連記事。

 

(原注:本稿の初出は、『ハーバード・ビジネス・レビュー』のドイツ国内版である『ハーバード・ビジネス・マネジャ-』2014年7月号。)

 その昔、サッカーの試合で勝敗を左右したのは個々人の働きであり、スター選手の存在だった。1970年代と80年代、そして90年代になってもなお、ペレ、フランツ・ベッケンバウアー、ディエゴ・マラドーナといった伝説的な選手たちが試合を支配していた。彼らはその優れた技能とスピードによって、中盤に空きスペースを見つけ、ボールをゴール前に自力で運ぶ時間をつくり、パスするかシュートするかを決断した。

 2005年頃まで、ヨーロッパの選手たちはパスをする前に平均3秒間ボールを保持することができた。だが現在では、ボールを持って1秒も経たないうちに対戦相手が奪いに来る。というのも、今日の選手たちはかつてないほど緊密に連携しているからだ。フォワードはボールを失ったら、即座に相手ディフェンダーに挑んでみずからボールを取り返そうとする。結果的に、選手が利用できる空間と時間は縮小し、より早いパスとより緊密なやり取りが必須となっている。

 2大会前のワールドカップ(2006年)の頃までは、好機を捕らえたパスと奇襲攻撃が見事なゴールにつながり勝敗を決した。一方、現在におけるスマートな攻撃とは、多数のパスで構成される。非常に多くの選手たちによって非常に素早くボールが回され、ディフェンスが崩される。世界で最も強いナショナルチームのいくつか――ブラジル、コロンビア、ドイツ、オランダなど――は伝統的なプレースタイルから、ワンタッチでボールを回す「ティキ・タカ」というスタイルに移行した。ティキ・タカは短く素早いパスと絶え間ないポジション変更を特徴とし、最初にスペインのチームによって採用された。

 実際、これらのチームは「群知能(swarm intelligence)」を用いているようであり、集団で意思決定を行い、斬新な動きをその場で瞬時に思いつく。そのため個人の働きが占める余地は少なくなり、集団プレーが重視される。さもなければ、相手チームの素早く複雑なディフェンスを前に攻撃を維持することは不可能だろう。

 この新しいスタイルを最初に試みたのは、FCバルセロナ監督のラウレアーノ・ルイスで、彼自身はこのスタイルを「ロンド」と称した。そして1988~96年にかけて、同じくバルセロナの監督ヨハン・クライフがこれを礎に「トータル・フットボール」の概念を確立した。そのシンプルかつ見事なコンセプトは、チームの全員が一団となって攻撃し、かつ全員が共に防御するというものだ。このスタイルでは、サイドバックやセンターバックが攻撃に加わること、あるいはフォワードがディフェンスの役割を果たすことは珍しくなかった。このため相手チームは不意を突かれることがよくあった。ディフェンダーがゴールを狙ってくるなどと予期しておらず、またフォワードは相手(バルセロナ)のディフェンダーではなくストライカーから挑まれて衝撃を受けた。

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