小売・サービスのグローバル化は
なぜ進まないのか

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 どんなにグローバル化が進んだ企業にも大抵は深く根を下ろした本拠地があり、そこから完全に解かれることはできません。そうであるならば、人や文化、場所の違いや隔たりを解消するのではなく、差異に着目し、そこに真の価値と強みを見出そうという考え方です。

 アメリカ発、欧州発のイノベーションがあるように、日本発でしか実現できないイノベーションは必ずあります。原点に立ち戻って、日本的なよさを発信する段階に来ているのではないでしょうか。

根付く力を日本人は持っている

「日本人や日本企業はグローバルプレーヤーになれない」というのは間違いです。特にグローバル3.0の段階においては、日本人が本来持つ特性が生きてくるはずです。

 日本の閉鎖性を「島国根性」と表現しますが、江戸時代などの限られた期間を除けば、日本は海外との間に活発な交流を持つ開かれた国でした。長い歴史の中の多くの時代で、我々の祖先は他国の文化を受け入れ、また国土を囲む海に無限の可能性を見て、果敢に外洋に漕ぎ出して行ったのです。

 バイキングなら植民地化するところでしょうが、世界の国々に行き着いた日本人は農耕民族らしい粘り強さを持って自分たちの居場所を築いていきました。16世紀にはタイのアユタヤをはじめ、ベトナム、カンボジアなどに日本人町がつくられましたが、鎖国を経て、現地に同化するかたちで消滅したとされています。中国の人々がチャイナタウンを中心にコミュニティを形成して、自分たちの文化や習慣を守ろうとしたのとは対照的に、「和僑(わきょう)」は現地に交わり、しっかりと根を下ろしたのです。

 一方で、「和して同ぜず」の精神も忘れず、日本人のよさを持ち続けました。勤勉な働きぶりや困難に屈しない粘り強さで、現地の人々の尊敬を勝ち得て、それぞれの社会で重要な役割を果たすようになっていったのです。

 勤勉に働き、世界の人々のために良質なもの、役立つものをつくって貢献する。この日本人の基本的な姿勢は現代でも変わらず、生き続けています。自動車や繊維、そして家電でも、日本製に対する一定のリスペクトが依然としてあるのは、そのせいといえるでしょう。

 異国の中で自国流にこだわって異質な文化を固持するのではなく、だからと言って現地にあまりにも融合することもせず、日本のよさや強さを周りに認めさせて行く。グローバル3.0に進むために重要なDNAを、日本人は持っています。

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