イノベーションを促進する組織文化とは?

女性が活躍する職場づくりと英語の公用語化

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P&Gジャパンはイノベーションを促進する組織づくりの一環として、組織文化の変革を強力に推進した。それは2000年前後に始まり、数年間をかけた息の長い取り組みだ。その中には女性が働きやすい職場づくり、英語の公用語化といった施策が含まれている。これらは戦略から導き出された一手であり、その後の大きな成果につながっている。

古い組織文化から
P&G的な組織文化への変革

 組織文化は、企業にとってきわめて重要な意味を持っている。陳腐化したカルチャーはやがて組織を蝕む病として全身に広がり、企業そのものを内側から崩壊させるだろう。

 組織文化の変革を求められる時期、その適切なタイミングは企業によって異なる。いまかもしれないし、数十年後かもしれない。P&Gジャパンにとって、そのタイミングは2000年前後だった。

 私がP&Gジャパンの人事本部長に就任したのは1999年。当時P&Gジャパン社長だったボブ・マクドナルド氏とともに、私たちは2000年ごろから組織文化の抜本的な変革を進めていった。古い組織文化からP&G的な組織文化へ。これが大きな方向性だ。

 組織文化の変革の前には戦略がある。当時、P&Gジャパンが打ち出した戦略の六つのポイントについては第2回で触れた。「絶え間ない高質の新商品導入(Innovation)」「卓越した実践力」「消費者への競争力ある価値の提供」「コスト削減」「戦略的な顧客とともに成長し勝利する」「戦略実践に必要な組織と能力の構築」の六つである。

 こうした戦略を実行に移すためには、すべての部門があらゆる領域で変革を進める必要がある。その中で、私が主導したのが人事・組織面での変革。言い換えれば、イノベーションを促進する組織構造、組織文化づくりである。

 古い組織文化を具体的に表すキーワードは次のようなものだ。「本音と建前」「年功序列・形式的」「指揮命令型」「男性中心」「親分子分」「体育会系」。このような組織文化の下で、自由闊達な議論やイノベーションは期待できない。

 これらのキーワードは、多くの日本企業にも見られるものだ。その中には従来のカルチャーを維持したまま、もしくは維持しているから勝てるという企業もあるかもしれない。であるならば、私があえて言うべきことはない。ただ、グローバル競争が激しさを増す中で、そうした企業が勝てる分野は狭まりつつあるように見える。

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