統合か、現地化か。
グローバル組織のジレンマ

アジア新興国でのリーダーシップを考える(前編)

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「世界競争力ランキング」で有名なスイスのビジネススクールIMDが、2014年11月世界30以上の国々の様々な企業の幹部130人を集めたグローバルリーダー育成プログラムOWPをシンガポールにて開催した。そこで発表されたのが、人材競争力に関するランキング「ワールド・タレント・リポート2014」である。ランキングで浮かび上がる、日本企業の課題とは。

 

ランキングで浮かび上がる、日本企業の課題

 スイスのビジネススクールIMDは去る2014年11月、シンガポールにて「ワールド・タレント・リポート2014」を発表した。これは世界60カ国を対象とした人材競争力に関するランキングで、「人材への投資、人材開発」「魅力度、人材確保力」「スキル・教育」の3つの角度から、統計とアンケート調査によって各国が有能な人材を引き付ける力を順位づけしたものだ。

 8年連続トップのスイスを筆頭に欧州勢が目立つなか、マレーシアが昨年の20位から躍進し5位に食い込んでいる。その他のアジア諸国は、シンガポール(16位)、香港(21位)、インドネシア(25位)、台湾(27位)と続き、日本は28位である。

 日本の順位の低さの原因は、まず「国際経験」(59位)、「語学力」(54位)の致命的な弱さにある。さらに見過ごせないのは、マネジャー育成面での問題が垣間見えたことである。たとえば、「有能な上級管理職」が56位、「マネジャー教育」が49位と、いずれも著しく下位にある。ちなみに「従業員教育」3位、「徒弟教育」5位、「従業員のモチベーション」6位、「人材確保と維持」7位と、いわゆる労務管理面は相変わらず強く、言葉を選ばずにいうなら日本人の内弁慶ぶりが表れてしまった形だ。これらを合わせて考えると、国外におけるリーダーシップが、ひとつ大きな課題として浮かび上がってくる。

 昨今では国内市場の高齢化・縮小化を見越して、新興国市場への進出を目指す日本企業が増えているが、現地を動かす優秀なマネジャーが足りていない、育成が追い付かない、しかもマネジャー育成の施策において現地国の後塵を拝している可能性がある。

 何とも考えさせられる結果であるが、名だたるグローバル企業もまた、各国での事業展開に紆余曲折の経験を重ねてきている。現地で果たされるべきリーダーシップとはどのようなものであり、グローバル・マネジメントとどのように整合性を図るべきか。まず、組織運営上の観点から考えよう。

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