かつて「企業嫌い」と呼ばれたオバマは、
なぜ変わったのか

1

本誌2015年1月号(12月10日発売)の特集は「CSV経営」。企業が経済的利益の追求と社会問題の解決を両立する方法(Creating Shared Value:共通価値の創造)を、さまざまな事例を通して提案する。HBR.ORGの関連記事からは、米大企業が実践するCSVの取り組みを紹介。社会問題の解決における企業の役割は、かつて「企業に厳しい」姿勢が目立ったオバマ大統領をも変えるほど大きくなっている。

 

 2014年1月に行われた米大統領の一般教書演説に対し、識者たちが相次いでコメントを寄せた。しかしある事実に関しては、まったく触れられていないようだ。すなわちオバマ大統領が、国の抱える問題を解決する重要なパートナーとして「企業」を何度も引き合いに出したことである。その内容は彼のこれまでの一般教書演説とは非常に対照的であり、社会におけるビジネスの役割を改めて明言するものだった。

 オバマ大統領は「子どもの肥満率を30年ぶりに下げることができたのは、学校、企業、そして地域の指導者たちという三者の連携があったから」だと述べ、これが生活の改善と医療費の削減につながっているとした(例:サンドイッチ店のサブウェイは、子どもの食生活改善を推進するミシェル・オバマを支援)。また、企業と非営利団体、150の大学の連携によって「高等教育を受ける機会の格差を是正し、勤勉であればだれでも大学に進学でき、充実したキャンパスライフが送れるよう支援」する取り組みについても述べた(英語記事)。

 オバマはさらに、企業のCEOたちに「より多くの長期失業者に新たな雇用と家族扶養の機会を提供する」よう要請していることにも触れた(英語記事)。そして、政府は連邦通信委員会(FCC)および「アップル、マイクロソフト、スプリント、ベライゾンといった」企業の支援を受け、「今後2年間で1万5000校、2000万人を超える生徒が高速ブロードバンドを利用できるようにする取り組みの準備が整った」ことも明らかにした。

 失業、教育、健康・医療の諸問題の解決にあたり、オバマが企業の大きな役割を重視していることは、新たな現実の始まりを反映している。すなわち世界の最も重大な問題の解決にあたり、企業が主役を担うようになっていることだ。その先端を行く企業はもはや、「片手間」で漠然と「よいこと」をするために、「本業」の経営資源を使いすぎないよう気をつけながら、地域社会への貢献だけに取り組んでいるのではない。自社の運命が世界の健全性に大きく左右されると気づいた企業は、環境・社会問題の解決に中核事業のケイパビリティを注ぐことで、経費削減とリスクの低減、そして利益の拡大に努めている。

 さらに言えば、多国籍企業こそが――政府やNGO、非営利組織よりも――世界の最も深刻な問題を解決するための人的および金銭的資源、技術、グローバルな規模、市場の力、そして金銭的な動機を持っている。(この主張の下、私は新著A Better World, Inc. のサブタイトルをこのようにした――「政府の手に負えない問題を、企業が解決し儲ける方法」。)

1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
HBR CSV経営ブログ」の最新記事 » Backnumber
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking