いま日本企業が目指すべきモデルが
スイス企業にある

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国土が小さく資源に乏しいスイスがいまや世界で最も豊かな国のひとつとなっている。経済の大きさで競うのではなく、その「質」で競争力をつけたスイス。ここに日本企業が学ぶべき点が多いのではないだろうか。

 

小国ながら、グローバルで存在感を示すスイス

 かつての日本経済が欧米の先進国に「追いつけ、追い越せ」と生産性を上げ、世界2位までの経済大国になるという成功を収めました。それから20年、GDPでは中国に抜かれ、国内でも「失われた20年」などと言われる低迷期を迎え、いまや日本経済の向かう先が見えない状況です。

 グローバル化、ネットワーク化を迎えた新しい世界経済の中で日本はどのような存在になるのか。この問題を考える上で、非常に示唆的な本を読みました。それは、『スイスの凄い競争力』という新刊です。

 ネスレ、ノバルティス、ロシュ、USB、オメガ、スウオッチなど世界的企業が存在するスイス。この国の競争力の全貌を明らかにしたのが本書です。スイスはご存知のとおり人口1000万人に満たない欧州の小国ですが、一人当たりGDPは日本の約2倍あります。経済の大きさを目指すのではなく、質の向上を目指すうえで、このスイス・モデルは日本のモデルと言えるのではないでしょうか。

 金融業や観光産業、また高級時計あるいはチョコレートやチーズなどの強さは知られていますが、本書ではそれら以外の産業についても多くを知ることができます。

 驚いたのは世界最大の海運会社がスイスだとか、世界の石油取引の3分の1がスイス企業が絡んでいるなどです。海に面していない国、原油の取れない国なのに、です。

 また、飛行機のスチュワーデス(フライト・アテンダント)や旅行パックはともにスイス初だそうで、技術的なイノベーションのみならず、サービス面でもイノベーションを遂げてきた国です。

 スイスの強さとして人材を引き付ける一面も見逃せません。歴史的に多くの移民を受け入れてきた経緯もありますが、どの企業も外国人に活躍の場を与えています。

 最近グーグルがエンジニアセンターをチューリッヒに移しました。ここに65か国から750人のエンジニアがいます。これは明らかに優秀な人材へのアクセスを容易にするためです。スイスには世界中から人が集まる風土があり、またチューリッヒとローザンヌに世界的な工科大学があります。物価の高さを超える生活者にとっての都市の魅力も兼ね備えています。

 他にもフィリップ・モリスやダウ・ケミカルといったグローバル企業が中枢機能をスイスに移しています。

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