顧客体験のインパクトは数値化できる

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顧客体験の向上は実際のところ、企業の収益にどう影響するのだろうか。顧客のフィードバックと長期的な支出行動を基に定量化することで、その大きなインパクトが見えてくる。

 

 ほとんどの人は、顧客体験の重要性を直観的には知っている。私たちが顧客として関わりたいのは、優れた顧客体験を提供してくれるブランドだ。そうしたブランドにこそ人は忠誠心を持ち、友人や家族に勧めようという気になる。だが事業を率いる経営幹部は、その価値を明確に認識していないことが多い。定量化が難しいからだ。顧客体験を重視する理由は多分に、「それが正しいことだから」という直観に根差したものになりがちだ。すると、顧客体験の優先順位を決めるのは数字ではなく人の議論でしかない、という問題が生じることになる。

 このため我々メダリア(Medallia:顧客体験向上のソフトウェアとサービスを提供する会社)は、優れた顧客体験とそうでない体験のインパクトを数値化する方法を模索し、その提供意義を見極めたいと考えた。実行にあたり、我々は2つのグローバル企業から、10億ドル規模の事業の顧客体験と売上げに関するデータを入手した。1つは取引ベースの事業、もう1つは関係ベース(会員登録制)のサブスクリプション型事業である。

 分析を通してわかったのは、顧客体験のインパクトは数値化できること、そして顧客体験の影響は甚大であることだ。

 我々は異なる収益モデルを持つ2社(取引型とサブスクリプション型)について、あらゆる業界に当てはまる2つの要素――①顧客からのフィードバック、②各顧客の将来の出費――を基に分析した。顧客体験が将来の出費に及ぼす影響を知るために、各顧客のある時点での顧客体験スコアを調べたのち、その後1年間の消費行動を分析した。

 取引型事業で重視されるのは、リピート購入の頻度と1回当たりの支出額だ。対してサブスクリプション型事業では、会員の継続、クロスセル、アップセルが重要となる。我々は多重回帰を用いて、顧客体験以外でこれらに貢献しうる要因(例:運動が好きな人は、顧客体験のよし悪しにかかわらずジム通いを楽しむと思われる)を分析し、過去の顧客体験がその後の行動にどの程度違いをもたらすかを推定した。分析の結果、顧客体験こそが将来の売上げを左右する大きな要因であることがすぐに明らかとなった。

 以下は、取引型事業において、リピート購入を促すその他の要因(例:その製品やサービスを顧客が必要とする頻度)を調整したあとの結果である。過去に最もよい顧客体験をした購入者は、最低の経験をした購入者より140%も多くの金額を費やしていた。

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