証券アナリストが群がると、
企業のイノベーションは減る

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アナリストに多くのレポートを書かれる企業ほど、イノベーション能力が量(特許数)・質(特許の被引用数)ともに低下する――こんな調査結果がある。その示唆するところは何か。本誌2014年12月号特集「投資家は敵か、味方か」関連記事。


 証券アナリストは企業のイノベーションが大好きだ。画期的なアイデアを生み出す企業を高く評価し称賛することで、市場評価の向上に貢献する。

 つまり、少なくとも理論的には、アナリストは企業に――というより、経営者に――イノベーションを求めている。経営陣がより多くのイノベーションを生み出せば、その企業はいっそうアナリストに気に入られ、株価も上がるだろう。

 ところが、皮肉な事実がある。アナリストが企業をカバーする(アナリストレポートを作成するために調査対象にする)と、むしろイノベーションは妨げられるのだ。ジョージア大学のジー(ジャック)・ヒーとインディアナ大学のシュアン・ティアンは2013年、"The Dark Side of Analyst Coverage: The Case of Innovation"と題した論文を「ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・エコノミクス」 に発表した。それによると、カバーするアナリストの数が多い企業ほど、取得する特許件数が少なくなるという。逆に、合併や証券業務の停止などの理由でアナリスト・カバレッジが減ると、その企業のイノベーションは勢いを増すことが示された。

 しかも、イノベーションの量だけでなく、質もまた影響を受ける。カバレッジの多い企業が取得した特許は、そうでない企業の特許と比べてインパクトも重要性も低くなっていたのだ(研究者らは、特許が一定年数の間に引用された件数を調べた)。

 この研究者らは次のような仮説を立てていた。アナリストに詳しく調査・分析される企業の経営陣は、短期的な目標を達成しなくてはならないというプレッシャーにさらされるため、長期的なイノベーションへの投資を減らしてしまう――。今回の研究結果は、この仮説を支持するものだという。

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