対話型コーチングを成功させる
5つのポイント

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コーチングは重要なマネジメント・スキルだが、「相手の学習と成長を助けるための対話」と考えて初歩のステップを把握すれば、今日から実践できるコミュニケーション術でもある。


 もしあなたが、リーダーシップの要諦をただ1つだけ押さえるとすれば、これがよいだろう――「人が仕事で最もやる気を起こす条件は、自身にとって有意義なことに従事し、その任務で進歩を遂げることである」。仕事でリーダーを経験する人にとって、この言葉が意味することは明らかだ。リーダーが日々実行すべき一番重要なことは、チームのメンバーが有意義な仕事で進歩を経験できるよう助けることである。

 リーダーは、これを実現するためにやるべきことがある。チームの各メンバーが何に意義とやりがいを感じるのかを、理解すること。個々人の仕事が、組織の使命と戦略目標に合致するよう助けること。そして適切なタイミングでフィードバックを行い、1人ひとりの継続的な学びと成長を助けることだ。

 そのためには、スキルアップに関する部下との定期的な対話、つまりコーチングが不可欠となる。実際に最近の研究によれば、有能なマネジャーと平凡なマネジャーを分かつ最も重要なマネジメント能力は、コーチングであることが示されている(本誌2014年5月号「グーグルは組織をデータで変える」を参照)。

 不思議なことにほとんどの企業では、コーチングはマネジャーが果たすべき正式な職務に含まれていない。従業員と就職志望者はともに、仕事において学習とスキルアップをその他多くの側面よりも重視している。このことは調査によって明らかとなっているにもかかわらず、マネジャーの多くはコーチングを自分の重要な役割と見なしていないのだ。そのような対話に割く時間などないと考えており、またそのスキルを持たない者も多い。しかし従業員の学習とスキルアップの70%は、正式な研修プログラムを通じてではなく、実際の仕事中に起きている。したがって、ラインマネジャーが支援と積極的な関与をしない限り、部下は成長できないのだ。従業員エンゲージメントとリテンション(職場への定着)の関係も同様だ。

 昔気質で結果第一主義のラインマネジャーが、部下へのコーチングを学ぶことはできるのだろうか? もちろん可能である。しかも、その訓練により上司と部下双方のパフォーマンスが向上する。部下と共鳴し合う関係をつくり、部下が重視する何かを達成するのを助け、なりたい自分に近づけるよう後押しする――これはマネジャー自身にとっても素晴らしい体験だ。コーチングによって共鳴し合うことの効果は何といっても、ポジティブなエネルギーである。私が教えた数百人に及ぶ企業幹部たちの感想によれば、部下の学習と成長を手助けすることは、マネジャーとして最も有意義に感じた経験の1つだという。

 チームメンバーとの定期的な対話型コーチングを今日から始めれば、あなたは一段と優れたマネジャーとなり、その職務をもっと楽しめるようになる。部下の継続的な学習とスキルアップを支援しようと決意したリーダーが、まず最初に押さえるべき5つの重要なポイントは以下である。

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