CFOは投資家に
ガイダンス(利益予想)を示すべきか

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「ガイダンス」とは、米企業が投資家向けに翌四半期や次年度の利益予想を発表することだ。ガイダンスを実施している企業としていない企業があるのは、なぜなのか。そのメリットとデメリットを比較しながら、CFOは市場にどう向き合うべきかを考える。本誌特集「投資家は敵か、味方か」関連記事。

 

 企業が行う決算発表は、株価の評価に――少なくとも短期的には――多大な影響を及ぼしうる。投資家は当期の業績、またはガイダンス(来期以降の業績や1株当たり利益〈EPS〉に関する予想)が市場の予想を上回る企業には、株価上昇という形で報いる。業績またはガイダンスが市場の期待に応えられない企業には、株価下落という罰を与える。

 企業は果たして、ガイダンスを提供すべきなのだろうか。当期の決算発表シーズンも終了したいまこそ、その是非を論じるのにふさわしい時期といえる。これはコンセンサスに挑戦する問いかけであり、この問題にはそれぞれ的を射た賛否両論がある。

ガイダンス賛成論

 最初に、ガイダンス賛成派の主張を見てみよう。ここでは「投資家に対して透明性を高めることの価値」が、主な論拠となっている。

●株価に貢献する
 ガイダンスを実施すれば株価上昇につながる、という主張がある。この説を支える実証的な証拠は十分ではないが、直感的には理にかなっている。すなわち投資家は不確実性を忌み嫌うため、経営陣による予想を知ることは貴重なデータを得ることを意味し、これによって投資先への自信が強まる可能性がある。

●証券アナリストのカバー減少を補える
 証券会社のセルサイド・アナリストによるカバーが手薄になっている現況を踏まえれば、ガイダンスには一定の価値がある、と主張する向きもある。CFO(最高財務責任者)は自社に関するアナリストの分析不足を補うことで、市場が現実に根差した予想を形成する確率を高めることができる。

●投資家とのコミュニケ―ションを柔軟に行える
 ガイダンスを実施すれば、各期の業績発表の合間に、CFOが自社の見通しについて投資家らと意見を交わす余地が大きくなる。さもなければ、CFOはレギュレーションFD(米企業の役員やIR担当者が、未公表の重要な情報を特定のアナリストや投資家のみに開示することを禁止するルール)による制約に縛られるおそれがある。

●株価変動率(ボラティリティ)を抑制できる
 ガイダンス実施は最終的に、株価の変動をほぼ間違いなく低減させる効果がある、という主張だ。それによって、β(ベータ:株式市場が1%変化した時に、任意の株式のリターンが何%変化するかを表す係数。株式の相対的なリスクを表す)および資本コストが低下する。

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